打っていい場所・悪い場所/苑田勇一

苑田勇一の打っていい場所・悪い場所   

有段者 ☆☆☆★
NHK出版/内藤由起子

 苑田九段らしい斬新な切り口と、明快な解説で楽しめる囲碁読本。
 囲碁は非常に手が広い場面が多い。アマチュアがよく勘違いしてしてるのは、「囲碁には常に絶対的な良い手が存在する」という思い込みだ。そういう思い込みがあると、〇〇先生の本ではコゲイマが良いと書いてあったのに、◇◇先生の本では一間が良いと書いてあった、どっちが正しいの?なんていう悩みが生じたりする。
 もちろん死活やヨセなどでは「良い手」が特定できる場面が多いが、人知では到達できない場合が多い。むしろ「これはありえない手」とか「この手はありうる」という大まかな善悪の判断ができることが重要なのだ。プロや高段のアマチュアが検討で「これで一局」というよな言い方をしているのを耳にしたことがあるだろう。それは「絶対の真理ではないが、大筋は外れていない」という判断に支えられている。プロが一手30秒でもレベルの高い棋譜を残せるのもこういう判断力のためだ。(このことについては王銘エン九段の近著『読みの地平線』の書評でも触れるつもり)
 この著作で苑田九段は、「石数」や「形」から打っていい場所悪い場所の「判断」の仕方を教えてくれる。この教え方は、「こう打たねばならない」という思い込みから脱出させて、「どう判断して打とうか」と考えさせてくれるだけでもとても有益だ。
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中盤

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