勝負する心 李昌鎬自伝/李昌鎬



日本囲碁連盟
☆☆☆☆

 韓国の天才棋士李昌鎬九段の自伝。李昌鎬九段に関してはこれまでも各種雑誌での記事や『李昌鎬物語』などで描かれていることも多い。
 才能がなさそうに見えて不思議に強い天才。鮮やかなまさに天才棋士といえる師匠チョフニョン九段とはまさに正反対で、しかし鈍重に見える李昌鎬が師匠を凌駕してゆく不思議。早期から結果を出した国内棋戦に対して弱いとされた外国での試合。これらは以前からも指摘されていたことだが、それらに対する本人からの視点での感想が読めるところが新しい。李昌鎬が登場した時代は現在と違って少年棋士はほとんどいなかった。少年が大人の棋士の中に混ざって勝負の世界で生き残るというのは、いくら才能があっても困難な面があったと思われるし、そのことは李昌鎬の人となりに大きな影響を与えたことは間違いない。

 本書で個人的に一番興味深く読んだのは2005年の農心杯に関する詳細な記述で、ホテルに滞在しながら連日の対局に臨む姿が描かれている。弟の献身的なサポート。対局直前まで行う対戦相手の分析と研究。勝負の結果だけを見てしまうと李昌鎬には圧倒的な実力があり、勝つべくして買っているように見えてしまうが、強者もまた苦しんでいるのだ。
 その他の棋士の評価・感想も面白い。
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読み物/文芸

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