現代囲碁大系14 島村俊広/島村俊広




講談社/本田順英
有段者 ☆☆☆ 

 中京囲碁界の祖であり、「忍の棋道」の異名を取った島村俊広九段の打碁集。60歳を超えて天元を獲得するなど、息の長い棋士でもあった。全30局を収録している。

 国際化とともに現代囲碁はスピードと激しさを増している。島村九段の碁は、いわゆる伝統的な日本の囲碁の中でも息が長い碁に属するため、現代碁に慣れた読者にはずいぶんのんびりしたものに見えるだろう。一見して奇手妙手の類は少なく持久戦になることが多いので、退屈だと思うひとも多いかもしれない。
 島村九段の碁の魅力は、序盤中盤はじっくり打ち進め、一瞬のチャンスに力を出す勝負師ぶりである。ただ固いのではなく、一瞬の勝機をそれこそ息をひそめて待つしぶとさには、執念ともいうべき秘めた激しさを感じる。終盤も得意分野で、細かく勝った碁も多い。

 地味な碁なのでエンタテインメントとしての魅力は劣る(ヨセマニアは面白いだろうが)が、着実な打ち回しは着手の規範となるものである。せっかく並べるならゆっくり時間をかけて並べてみたい棋士である。
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昭和(打碁集)

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