木谷実

 (1909~1975)
 囲碁史における木谷実(實)の登場はライバル呉清源とともに、本因坊秀哉時代の終焉と新時代の幕開けを意味していた。呉とともに著した「新布石法」はまさにその象徴であり、実際に手合いでも圧倒的な力量を示して新時代の旗手となったのである。
 時代の覇権をかけて争われた呉清源との十番碁(鎌倉十番碁)に敗れ、秀哉引退後選手権戦に移行した本因坊戦でも3度の挑戦のみにとどまるなど、タイトルには恵まれなかったが、その芸技は高く評価されている。木谷は3度棋風を変えたといわれ、力戦で相手をなぎ倒し「怪童丸」とよばれた若手時代、実利を稼ぎ中盤に相手の模様に狙い澄ました打ち込みを敢行した中期、そして独自の手厚さは維持しつつ均整のとれた円熟期とわかれる。全般的にいえるのは驚異的な読みの深さである。妥協なく読み、読みに妥協しないため、木谷の碁は険しい変化が多く面白い。世に「木谷定石」というものもあり、これは木谷が好んで打った型で、木谷しかほとんど採用しなかった型でもある。一般的には不利といわれているが、それでも使い続ける愚直さに木谷の性格が表れている。
 多くの弟子を育てたことでも知られ、戦後の日本の碁界を席巻した。現在の碁界の隆盛は木谷の存在なしには語れない。

○著作リスト

 木谷實/小林光一
 中盤戦この一手/木谷実

参考
 木谷實とその時代/菊池達也
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棋士・観戦記者

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