道的・道節・道知 元禄三名人打碁集/福井正明



誠文堂新光社/田中宏道
棋譜並べマニア ☆☆☆

 『古名人全集』に続き、マニアックな一冊。何冊売れるのだろうか?

 史上最高の神童といわれる小川道的(道策跡目)、『発揚論』を著した「名人因碩」道節、孤高の名人本因坊道知の3人を取り上げている。時代的に連続はしているが、3人を「元禄三名人」とまとめるのはやや無理気味で、苦肉の策だったか。元禄三名人というのはこの本でつけた愛称で、この3人が歴史的にそういう風に呼ばれてきたわけではない。

 古碁を並べて育ち、古碁が大好きな私だが、道策及び幕末の隆盛期(元丈知得以降)以外の江戸古碁というのはやはり「趣味の世界」である。この本も囲碁史が好き、昔の名棋士に興味がある、古碁の雰囲気だ楽しいという人でないとなかなか楽しめないかもしれない。

 個人的には、棋士の個人全集を並べるときは物語性を重視している(棋譜を並べながらその棋士の人生を追う)ので、この本はちょっと不満。まず道的は夭逝したこともあり、棋譜が少なすぎ伝記も少ない。また道知は、肝心の全盛期・後半生は御城碁暗黒時代であり、また道知が強すぎて争碁も行われていない。勝負らしい勝負がなく物語性に乏しい。
 唯一面白い要素が多いのが道節。道策五弟子で最高齢というのは要するに晩成の弟弟子ということで、実力はありながら本因坊の後継者には選ばれず、外に出される。しかも名人にならないよう念を押されて道知の養育を引き受けさせられるなど、ちょっと同情したいような扱い受けているが、一方でなりゆきとはいえ結局名人の座に就き、そこに居座ってしまうなどなかなか食えない人物だ。ただ、なにぶん古い時代でもあり晩成の人だったので、不明な点も多い。

 『古名人全集』ほどではないにしても、これを購入した人はかなりの好事家だろう。
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古典(打碁集)
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本・雑誌
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棋書書評

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  • 2009⁄10⁄27(火)
  • 08:06

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