名人・名局選 大仙知/福井正明



誠文堂新光社/相場一宏
有段者 ☆☆☆

 名人名局選の第4段は、意外なことに大仙知だった。これはうれしい誤算。

 大仙知は、日本の伝統的な碁からは異端となる棋士である。何をもって日本の碁というかは曖昧だが、秀策の黒番と秀栄の白番が基本の基本だと思っておけば大きなはずれは無い。深い読みと明るい大局観に裏打ちされた「(不必要に)戦わずして勝つ」ような碁が理想とされてきたし、よいとされてきた。
 大仙知はその対極にいるとも言える。非常に位が高く、好戦的。ときには無理気味とも見える仕掛けがあるが、しかしそこには意表を突くような発想の柔軟さと驚異的な読みの力が内蔵されており、その棋譜は掛け値なしに面白い。また、最近の碁の激しさ(中韓の碁)に慣れた現代の目からは、むしろ大仙知の様な碁が江戸古碁にあったことに驚きを感じたり、新鮮さを感じたりするのではないだろうか。

 大仙知を打碁集で取り上げるのは日本囲碁体系以来のことで、非常に希少価値もある。秀策、秀栄の様なすました名局は嫌いだという人には、逆にお薦めかもしれない。
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category
古典(打碁集)
genre
本・雑誌
theme
棋書書評

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  • 2009⁄10⁄26(月)
  • 18:24

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