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落日の譜/団鬼六



筑摩書房 ☆☆☆☆

 熱心な将棋ファンとして知られる小説家・団鬼六の絶筆となった囲碁棋士雁金準一の評伝小説。

 自身と囲碁、それも雁金という棋士との接点の回想から始まり、維新期の囲碁界から物語を始めている。資料としては「坐隠談叢」の他、秀哉や雁金の回想録を用いているようだ。秀甫の方円者と坊門の対立、高田民子の囲碁界後援とその終焉、秀栄と秀哉(田村保寿)の不和など、囲碁史ではよく語られるところだが、小説だけあってそこに具体的な描写が肉付けされいきいきと描かれている。個人的には世評ほど秀哉を悪くは思わないのだが、この小説を読むと確かに憎たらしく思える。

 小説は完結しておらず裨聖会設立までしか描かれていない。ここから関東大震災を契機として囲碁界は再編され日本棋院が成立する。日本棋院に合流することを良しとしなかった雁金らは棋正社を結成し、有名な院社対抗戦へと進んでいく。まさにここからがクライマックスというところで筆が絶たれたのは残念というしかない。
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読み物/文芸

風と刻(上・中・下)/橋本宇太郎

  

松籟社
有段者 ☆☆☆★

 発表数ではギネス級の記録を持つ橋本宇太郎九段の傑作詰碁集成。各巻270問。手番統一、各問の下にコラムを配置するなど橋本流の構成は相変わらず。章が「生きの部」「コウの部」などとなっているので、無条件か否かがはじめからわかってしまうのは少し難点。

 橋本九段は意図して難しい詰碁は作らなかった作家で、若い頃はプロ棋士相手に難解な作品を出題していたこともあったようだが、新聞雑誌に発表するアマ向けの作品は簡明にして鮮やかな作品にすることを心がけていたようである。シンプルな作品を大量に生産すれば当然の帰結として、多くは基本問題(基本的な筋をまとめたよくある問題)である。しかし中には、非常にありふれた問題に見えて創造性の高い傑作も交じっていたりする。これを勝手に橋本宇太郎の玉石混交と呼んでいるが、そのあたりの意外性が面白いところかもしれない。
 もちろん、この場合宝石でないほうの問題も、基本手筋を簡潔に鮮やかにまとめた良問なので「玉石混交」というには語弊があるかもしれないが。

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詰碁集

昭和の詰碁(1~3)/日本棋院

  

日本棋院
高段者 ☆☆☆☆

 今はなき『棋道』誌上に発表された詰碁のアンソロジー。各巻90問。
 名作揃いでお薦めの詰碁集。『天龍図』にも多く収録されている。その他、個人で詰碁集を出している作家(前田陳爾、加田克司、郭求真、石田章など)は、この本に収録された作品を改めて単行本で発表していることも多い。(それだけ自信作、代表作といことか)
 新書判で読みやすいのもよい。戦後間もないころの級位者向けの詰碁は今だったら有段レベルで、アマチュア段級のインフレのひどさを痛感する面も。


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