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横田茂昭の白番は楽しい/横田茂昭



NHK出版/松浦孝仁
上級以上 ☆☆☆★

 一般にアマは、攻めよりもサバキが、黒番より白番が苦手な傾向にあると言われる。囲碁を教えていてなぜそうなるのかとよく考えるが、結局黒番や攻めは自分の利益を最大化する(俗っぽく言えば欲張る)ことが比較的有効に働くので、あまり深く考えずに積極的にいっても失敗しにくい。それに対して白番やサバキは、分をわきまえるというか、効率を考えて打つのが大事で、力任せに行くのはまずよくないので、そこが難しいのである。一生懸命頑張っていることこそが失敗の最大の原因なんてこともしばしばだ。
 
 本書は白番の打ち方の「考え方」や「発想」が効果的なキーワードとともに平易で明解な図で解説されている。白番が苦手な人の一番の病根である「力み」をスマートな考え方でほぐしてくれる良書ではないかと思う。
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序盤

勝負する心 李昌鎬自伝/李昌鎬



日本囲碁連盟
☆☆☆☆

 韓国の天才棋士李昌鎬九段の自伝。李昌鎬九段に関してはこれまでも各種雑誌での記事や『李昌鎬物語』などで描かれていることも多い。
 才能がなさそうに見えて不思議に強い天才。鮮やかなまさに天才棋士といえる師匠チョフニョン九段とはまさに正反対で、しかし鈍重に見える李昌鎬が師匠を凌駕してゆく不思議。早期から結果を出した国内棋戦に対して弱いとされた外国での試合。これらは以前からも指摘されていたことだが、それらに対する本人からの視点での感想が読めるところが新しい。李昌鎬が登場した時代は現在と違って少年棋士はほとんどいなかった。少年が大人の棋士の中に混ざって勝負の世界で生き残るというのは、いくら才能があっても困難な面があったと思われるし、そのことは李昌鎬の人となりに大きな影響を与えたことは間違いない。

 本書で個人的に一番興味深く読んだのは2005年の農心杯に関する詳細な記述で、ホテルに滞在しながら連日の対局に臨む姿が描かれている。弟の献身的なサポート。対局直前まで行う対戦相手の分析と研究。勝負の結果だけを見てしまうと李昌鎬には圧倒的な実力があり、勝つべくして買っているように見えてしまうが、強者もまた苦しんでいるのだ。
 その他の棋士の評価・感想も面白い。
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読み物/文芸