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加田克司傑作詰碁/加田克司






高段者(条件付きで上級以上) ☆☆☆☆☆
誠文堂新光社/加田克司

※以前は一部しか所持していなかったが、この夏思うところがあって全巻揃えたので記事を書きなおしました。


 同九段の「衆妙詰碁」の前シリーズで前8巻。(各巻1650円)不朽の名著ですが残念ながら絶版。私が所持しているのはこのうち3冊。
 第1巻が58問収録で、2巻以降は54問。これは加田克司衆妙詰碁にも引き継がれる。

 ヒントなし、問題図のみの問題の部と、膨大な解説の部に分かれる。ヒント的なものは、難易度(S、A、B、Cの4段階)、親玉子分、解説図の数と「詰碁」の数の表記があること。親玉子分とは、難解な詰碁の変化図(有力な失敗や、正解のヒントになる図を含むもの)を分割して出題したもの。子分を解くことで、初手の着手が絞れたり、その図の特徴を理解しやすくなるので、親玉も解きやすくなる。隠れ親玉子分というのもあって、故意に表記せず、ページを話して出題している例もある。親玉子分を一つの問題と考えると、純粋な問題数はだいぶ減る。

 解答の部は、最後に答えがあり、失敗からだんだん正解に近付いていく形式。「初手で○○は悪手ですが、白2ですと死にます。白2ではどう打ちますか?」などと問題図と問題図の間に質問が入ってこれも一種の詰碁のようになっている。また特に変化の面白い図は、解説文の中で「詰碁」として独立して再出題される。(ちゃんと難易度もついている)Sクラスの問題だと20数図もあったりするので、1図1図理解しながら進めて行くと結構時間がかかるだろう。このような独自の解答形式は、『張栩の詰碁』『張栩の特選詰碁』の解答形式にも影響を与えているように思う。ただなにぶん図の洪水で見にくいと感じてしまう人が多いのか、この部分で評価をしない人もいるようだ。

 加田九段は「詰碁が詰碁としてきわどく成立しているのがよい詰碁」というようなことをよく書いているのだが、これは要するに正解手順がきわどく鮮やかなことは当たり前で、さらにそれ以外の失敗図もきわどく鮮やかに失敗(相手に凌がれる)になるような、絶妙なものがよいということだ。自作を「傑作詰碁」と言ってはばからない加田九段は、正解手順のみではなく失敗手順にも色々な仕掛けをしているので、それを読者にしっかり読んでもらいたいのである。正解手順がパッと浮かんでそれでわかった気になられたらたまらない、というのが加田九段の偽らざる思いだろう。自作が非常に高度な芸術作品であることへの自負と、高度であればある程多くの人には理解されないことへの危惧が、執念ともいえる解説図の洪水を生みだした。それを冗長で面倒ととることもできるが、それだけ豊かな変化を有した優れた作品群であり、解説図はその作品に対する加田九段の愛情だと思えば読み方も変わってくるのではないかと思う。

 その意味でこの本は非常にアマ向きの本であり、現に加田九段もアマチュア上級者でも理解できるように書いたと述べている。プロやアマ強豪であれば図があればよいのであって、冗長な解説は必要ない。プロも頭を悩ますような高度な作品を、あまり強くないアマチュア向けに解説するという非常にアンバランスな構造を持った奇書だともいえる。加田詰碁は本当に素晴らしいし、丁寧な解説がある(ただし根気がいります)ので案外幅広い棋力の人が楽しめると思う。解けたと思ったら解答をはじめから読んで行き、途中で誤りに気がついた(よくある)ら問題図に戻ればいい。また完全に詰まった問題は、解説の最初の方をみて考えてみれば考えるヒントにもなる。何となくわかってきたら問題図に戻って再挑戦してみればいい。難問が多いが、解説を上手に使えばかなり楽しめると思われる。

 興味がある人は是非今のうちに入手すべきと思う。既に手に入りにくくなっている。
 

 以下蛇足。

 衆妙詰碁シリーズではなくなったが、傑作シリーズでは解説の途中に突然図が無くなり随筆が挿入されるということが数か所ある。自作がいかに評価されているか(小林光一九段が最頻出)という自慢や、高度な詰碁を作るのがいかに大変かという苦労話、詰碁論、病苦、自宅の地盤沈下問題に関する不満などが書き連ねられるのと読むと、この人の創作意欲はどんな所から来ていたのか興味深く思う。本書の隠れた見度ことの一つ。
 
 こぼれ話。学生時代の友人で学生タイトルやアマタイトルホルダーの田中伸拓君は「加田詰碁は全巻全問3回は解いた」とのこと。強い人は努力しているものです。
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詰碁集

美の有段詰碁100(上下)/林漢傑

 

日本棋院/伊瀬英介
上級以上 ☆☆☆☆★

 各巻100問で合計200問収録されている。囲碁ワールド付録の簡潔詰碁から選りすぐった作品と、新作で構成されている。構成もよく、読みやすい。ヒントとして言葉だけではなくヒント図形(問題)が掲載されているのがミソで、よい工夫と思う。
 基本的には平易なシンプル問題が中心で、幅広い棋力の人が親しめる内容となっている。終盤に難しい問題もあるが、それ以前の小品でも盲点に入ってしまうと悩まされそうである。これは是非多くの人に手にしてもらいたい詰碁集で、かなりお薦めの1冊(2冊?)である。

 林漢傑七段の作品はよくありそうな形でありながら意外に珍しい筋や詰上がりであることが多い。シンプル問題でもその作風は生かされており、ありふれた問題に見えて新しさを感じる良問が揃っている。張栩九段も指摘しているが、ダメ詰まりの追及に独自のセンスがあって、それがコクのある作風につながっている。

 シリーズと銘打たれているので、今後の続巻にも注目である。
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詰碁集

飛翔の譜/小林光一



マイナビ 内藤由起子
有段者 ☆☆☆★

 全盛期を含んだ本格編集のものが無かった小林光一名誉三冠の待望の打碁集。

 同時代ではドライなどと評され、残した結果の割に評価が低かったが、現在振り返ってみれば現代碁のなかでももっともお手本となるような棋士であったように思う。形にとらわれずドライな面もあるが、正確な形勢判断に基づいて局面を簡明化して打ち進めるので、アマチュアにもわかりやすく参考になる点が多いだろう。もっとも、平易な石の運びの裏にある深い読みはアマチュアにはなかなか想像もつかないものであるし、昨今の中韓の混沌とした乱戦に慣れてしまうとやや退屈に感じるかもしれない。

 今回は待望の打碁集だっただけに大変うれしいが、獲得タイトル・棋戦の決勝もしくは番碁最終局だけを収録するという、工夫のない選局にはがっかりした。ここに収められていない名局も数多い。機械的に選ばずに、もっと厳選して打碁集を編んでほしかった。
category
現代(打碁集)
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