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現代囲碁大系14 島村俊広/島村俊広




講談社/本田順英
有段者 ☆☆☆ 

 中京囲碁界の祖であり、「忍の棋道」の異名を取った島村俊広九段の打碁集。60歳を超えて天元を獲得するなど、息の長い棋士でもあった。全30局を収録している。

 国際化とともに現代囲碁はスピードと激しさを増している。島村九段の碁は、いわゆる伝統的な日本の囲碁の中でも息が長い碁に属するため、現代碁に慣れた読者にはずいぶんのんびりしたものに見えるだろう。一見して奇手妙手の類は少なく持久戦になることが多いので、退屈だと思うひとも多いかもしれない。
 島村九段の碁の魅力は、序盤中盤はじっくり打ち進め、一瞬のチャンスに力を出す勝負師ぶりである。ただ固いのではなく、一瞬の勝機をそれこそ息をひそめて待つしぶとさには、執念ともいうべき秘めた激しさを感じる。終盤も得意分野で、細かく勝った碁も多い。

 地味な碁なのでエンタテインメントとしての魅力は劣る(ヨセマニアは面白いだろうが)が、着実な打ち回しは着手の規範となるものである。せっかく並べるならゆっくり時間をかけて並べてみたい棋士である。
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昭和(打碁集)

李昌鎬名局撰集(上・中・下)/李昌鎬

  

棋苑図書/
高段者 ☆☆☆★

 上巻57局、中巻62局、下巻62局を収録しており李昌鎬の打碁集としては日本語では最大規模のもの。1989年のKBS杯から1995年のBCカード杯まで、基本的に勝利した棋戦決勝の対局をすべて収録している。番碁が中心なので当然敗局も含まれる。それはそれで編集方針なので構わないが、どこが「名局」で「撰集」なのかがわからない。

 翻訳の過程で打碁集の構成が崩れてしまい、妙な余白があると思えば窮屈な参考図が付いたり、唐突に写真が挿入されたりと、完成度は必ずしも高くない。解説は箇条書きで簡潔。悪い解説ではないが、結論しか示さない場合も多く、本当の意味で理解したり研究したりするにはアマ高段者の実力がいるだろう。

 李昌鎬の打碁集としては『李昌鎬ファイル』『李昌鎬世界戦勝局集』が優先されるだろう。それらに次ぐ第3の打碁集と思う。李昌鎬の碁のすごさを実感するにはまずこの2書を読むのがよい。本書はより多くの棋譜を調べたいという人向けである。

 本書の解説は簡潔だが、『世界の新手、新型』『神算の世界』『イチャンホの中盤戦略(全3巻)』『新沖岩囲碁研究報告』といった関連書籍で取り上げられている棋譜が多数含まれている。これらと合わせて研究するのも一つの手である。

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中韓(打碁集)

月刊囲碁3月号(2011)


Fujisan.co.jpで購読

 ケンカップは謝女流3冠が強すぎて面白くないほど。
 特選譜に山下寛君の棋譜。(対飛田戦、アマ本)実は新聞記事で棋譜は知っていたのだが、勝負所のヨミはさすがだ。
 
 大矢先生の「なぜそう打つ、なぜそうなる」は毎月愛読している。
 テーマ図でどう打てばいいか?と考えながら読むのはもちろん、ありそうな手(間違いも含む)の評価とその理由の作図をしながら読む。見た目は置き碁の講座のようだが、「何が筋で何が筋違いか」「どう打つことで筋違いを咎めらるか」といった本質的な問題を考察させてくれる。手直しの仕方の勉強にもなるので、何らかの形で置き碁を打つ(人に教える)機会のある人は読んでみるといいと思う。
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雑誌時評

囲棋天地 03~04(2011)

Fujisan.co.jpで購読

 新年合併号(たぶん春節に合わせてということか)ということで分厚い。

 グラビアも写真で振り返るこの1年的な豪華版だが、3月のページでは日本の藤沢里菜真初段と趙治勲九段の記念対局を取りあげている。
 昨年1年の成績を数字で振り返った後に、「我的2010」というトップ棋士自選ハイライト集があり、さすがに見ごたえのある図ばかりで楽しめる。謝赫は農心杯で期待通り李世石を倒した碁。古力が三星杯8強戦での対李世石戦、孔傑が富士通杯決勝の対李世石戦、王激は春蘭杯8強戦での対李世石戦と軒並み李世石に勝った碁を載せているのに注目される。昨年は国際棋戦を中国が席巻した1年だが、中国棋士の意識には常に「打倒李世石」があったということだ。面白いのが柁嘉熹。なんとミスで大石を仕留められた農心杯対高尾戦を掲載した。
 ハイライト集の後にはトップ棋士10名に対する取材記事が続く。

 つづいて「十大対局」として1年の重要10局を選抜して掲載しているが、なんと第1局はグランドスラムを決めた張栩対山下敬吾の棋聖戦。続いて「手段100」として2010年の対局の名手を100紹介している。日本からは山下敬吾、張栩(2回)、村川大介、趙治勲、武宮正樹、井山裕太(2回)、結城聡、高尾紳路の着手が選ばれている。

 それに続いて2010年の13の話題として「最優秀棋士(孔傑)」「最優秀新鋭(朴延桓)」など13の「1番」トピックを取りあげている。ちなみに「第1名局」として選ばれたのは世界名人戦の古力井山戦であった。

 その他では晩報杯、正官庄杯、日本棋聖戦のレポート。
 晩報杯は中国の世界アマ代表を決めるアマ(業余)の最高峰の大会である。優勝したのは馬天放6段で、決勝の自戦解説が掲載されているが、攻め合いの参考図が多すぎて目が回る。
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雑誌時評

古書の薦め

 最近の新刊書の多くは基本問題集が多い。一番需要があり売れるから、というのが理由だろうが個人的にはつまらない。

 棋書には2種類あると思う。消耗品としての棋書と愛読に耐えうる棋書だ。

 問題集というのは消耗品で、繰り返し解いてあきたらうっちゃり次に進む、というぐらいのものである。どの本がいいとか悪いとかという差もあまりなく、強くなりたかったら手当たり次第に解いてゆけばよい。強くなる上での基本なので、非常に重要であり必要不可欠ではある。

 一方で、囲碁の高度な考え方を教えてくれたり、プロの技芸のすごさを感じさせてくれるような棋書というものもある。囲碁とはものの見方ひとつですべてががらりと変わってしまうものであり、新しい考え方を知り眼前の景色が一変したときの感激は大きい。こういう感激は仲間内で囲碁を打っているだけではなかなか味わえない。(よほどよい指導者がいれば別だが)棋書に親しむことで囲碁の楽しみは格段に広がる。またそういう感激を与えてくれるような類の本は、自分の棋力が進むに従ってより深く理解できるようになるために、繰り返し読んでも面白いものだ。

 このブログを始めたときも、素朴に自分の感動を誰かに伝えたいからだ。しかし最近の新刊は必ずしもそういう感動を与えてくれるものは少ない。似たような問題集が多いし、わかりやすい教科書的な作品が多い。打碁集の類は少なくこだわりを持って書かれた棋書は少ない。一昔前のもののほうがよほど力作が多くて面白い。学生時代、いろいろな棋士の打碁集が欲しくて古書店を回って探したものだが、やはり面白い碁の本を読みたかったら新刊にこだわってはいけないと思う。 
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お知らせ

ヒカルの碁勝利学/石倉昇

 

集英社
囲碁を知らない人でも ☆☆☆☆

 タイトルがいかにも内容のなさそうなものだが、囲碁や勝負、そして石倉九段の囲碁人生などを、「ヒカルの碁」と話を絡めながら上手に紹介している。豊富な引用カットが特徴である。囲碁を知らない人にでもわかるように配慮して記述されている。個人的には石倉昇九段の囲碁の歩みを語った部分が面白かった。

 囲碁を覚えたての人に勧めてみるとよい1冊だろう。入門時に大切なのは、技術を習得することはもちろんだが、それ以上に囲碁や囲碁の世界の魅力を知って強い興味を育てることも大事だ。本書はその一助となるだろう。
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読み物/文芸
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