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プロの選んだ30の定石アマの好きな30の定石/結城聡




誠文堂新光社/中村智佳子
上級以上 ☆☆☆★

 プロの間で流行し頻出する最新型を30型、アマの実戦で現れやすい定石を高段と低段に分けて30型づつ紹介している。高段低段でかぶった定石の説明は割愛されている。

 本書は定石カタログともいうべきもので、プロが選んだ30型にしても定石を深く勉強するのには不向きである。ただし、苦心して要点を押さえ、また興味深い変化や手段に触れているので情報量としては少なくない。自分の実戦に応用するとなると自身での研究が必要ではあるが、プロの棋譜を鑑賞する際に特に重宝しそうである。
 アマの好きな30型の方は、すたれた旧型や間違った定石なども混じる。廃れた理由や損な理由、咎め方なども紹介されており、正しい定石知識をやすなううえで参考になる図が多い。

 「定石読本」「定石カタログ」としては切り口がユニークだし面白い本である。
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定石

中京の親子鷹打碁集 羽根直樹/羽根直樹



木本書店/中山典之
有段者 ☆☆☆

 現在、羽根直樹九段の打碁集としてはもっとも本格的なもの。61局を収録。『中京の親子鷹打碁集 羽根泰正』と姉妹本。
 しかしながらなぜ収録したかがよくわからない敗局が掲載されていたり、対局の背景や心理描写に乏しく、出来としてはいまいちだとせざるをえない。個人打碁集に敗局を掲載してもいいと思うが、掲載する理由がはっきり描写されていないとなんだかよくわからない。結城聡との棋聖戦や高尾紳路との本因坊戦なと逆転のタイトル戦は局数を割いて詳しく掲載しているが、淡々の解説するのみで当時の心境などはよくわからない。

 最近はなかなか打碁集の出版できない時代である。せっかくの機会なのだから、力作を期待したいものだ。
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現代(打碁集)

名人・名局選/福井正明

 すでに7冊まで刊行され、日本囲碁体系に並ぶような古典選集となるようなことも視野に入ってきた。今後の刊行の予定は不明である。知得・元丈あたりは是非刊行してほしいところだ。

名人・名局選 道策/福井正明
名人・名局選 秀栄/福井正明
名人・名局選 秀甫/福井正明
名人・名局選 大仙知/福井正明
名人・名局選 秀和/福井正明
名人・名局選 丈和/福井正明
名人・名局選 秀策/福井正明

 10局の詳解+参考譜というスタイルは統一されている。詳解局に関しては解説は丁寧で、先行する評・解説の引用紹介も豊富で、「決定番」という印象だ。
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シリーズ

木谷実

 (1909~1975)
 囲碁史における木谷実(實)の登場はライバル呉清源とともに、本因坊秀哉時代の終焉と新時代の幕開けを意味していた。呉とともに著した「新布石法」はまさにその象徴であり、実際に手合いでも圧倒的な力量を示して新時代の旗手となったのである。
 時代の覇権をかけて争われた呉清源との十番碁(鎌倉十番碁)に敗れ、秀哉引退後選手権戦に移行した本因坊戦でも3度の挑戦のみにとどまるなど、タイトルには恵まれなかったが、その芸技は高く評価されている。木谷は3度棋風を変えたといわれ、力戦で相手をなぎ倒し「怪童丸」とよばれた若手時代、実利を稼ぎ中盤に相手の模様に狙い澄ました打ち込みを敢行した中期、そして独自の手厚さは維持しつつ均整のとれた円熟期とわかれる。全般的にいえるのは驚異的な読みの深さである。妥協なく読み、読みに妥協しないため、木谷の碁は険しい変化が多く面白い。世に「木谷定石」というものもあり、これは木谷が好んで打った型で、木谷しかほとんど採用しなかった型でもある。一般的には不利といわれているが、それでも使い続ける愚直さに木谷の性格が表れている。
 多くの弟子を育てたことでも知られ、戦後の日本の碁界を席巻した。現在の碁界の隆盛は木谷の存在なしには語れない。

○著作リスト

 木谷實/小林光一
 中盤戦この一手/木谷実

参考
 木谷實とその時代/菊池達也
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棋士・観戦記者

月刊囲碁1月号




 今月からプロアマトーナメントが始まった。
 参加者は山田拓自七段、首藤瞬七段、安斎伸彰六段、謝依旻五段、安達利昌初段、のプロ5名と、韓国の元研究生河成奉、柳慎桓の2名、中国の楊橋、日本のアマの常石隆志、井場悠史、高橋真澄、鮫島一郎の4名で、合計12名。常石さんと高橋さんは入段を決めたのですでにアマではないが。
 プロアマのボーダレス化を象徴するかのようなトーナメントだ。首藤七段、安斎六段といったところは本戦にも入って活躍が目立ってきたいきのいいところなので、当然このトーナメントは勝たねばならない手合いになるがそんなに簡単でもなさそうだ。
 今月は鮫島さんと柳さんの対戦です。

 今月から新連載の坂井秀至碁聖の「今月のちょっと気になる定石」は面白い。期待にたがわずマニアックな内容である。出現率などの数字を用いているのが目新しい。今後に期待大である。
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雑誌時評

黒と白の殺意/水原秀策



宝島社 ☆☆★

 「殺し屋」の異名を持つ棋士椎名弓彦が、協会理事の殺人事件を解決するというストーリー。囲碁界のことを一通り取材してあるらしく、藤沢秀行ぽい師匠が登場したり、主人公が殺し屋というニックネームだったりする。
 それなりのなぞ解きはあり、囲碁界に関してもそれなりに調べてあるが、囲碁(ボードゲーム)そのものに対する理解というものが足りず、底の浅い作品となっているのは残念だ。そういう点では『猫を抱いて象と泳ぐ』などには遠く及ばない。囲碁をモチーフにした数少ない作品の一つだけに惜しまれる。
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読み物/文芸

局勢判断と応手/橋本宇太郎



山海堂/二口外義
有段者 ☆☆☆☆

 1970年代出版ということで古い本である。形勢判断をテーマにしたものとしてはかなり早いもののはずである。

 題材はアマから院生、プロ低段から宇太郎先生の実戦、古碁、ライターの二口さん(アマ強豪)がプロに対した碁などさまざま。要所で数字を出した形勢判断を交えつつ、どう打つべきかを解説している。形勢判断の仕方そのものを教えるというよりも、形勢判断をしながらどう次の手を考えていくか、ということに重点が置かれている。そのため「中盤」に分類した。広範な序盤・中盤戦を取りあげているため、知識としてすぐに役立つことは少ないかもしれないが、本格的な手の読み方、碁の考え方を知るにはよい教本である。単純に読む縦糸だけではなく、そこに数字を含めた形勢判断という横糸を絡めているところが最大のポイントである。
 第3章は「対局観のテスト」と題した問題集だが、なかなか良問ぞろいである。

 旧版はベージュの地味な装丁だが、近年に一度新装版が出されていたはずなので、比較的新しく状態のいい古書もあるのではないかとおもう。新装版はタイトルが少し変わっていたような気もするのだが、記憶が定かではない。

 GO!さんから、新装版情報をいただきました。『局面判断の常識』だそうです。


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中盤

秀策 極みの一手/高木祥一



日本棋院/佐野真
有段者 ☆☆☆☆★

 週刊碁に連載された講座を元に、本因坊秀策の名局から特に素晴らしい打ち回しにフォーカスして解説を加えたもの。連載は52回に及んだが、単行本化されたのはその中から厳選された30局で、連載時よりも加筆されている。連載時には新聞紙面の不自由さもあり窮屈な構成であったが、今回の単行本化・加筆修正によって満足な仕上がりになっている。巻末に2譜分けで題材譜も収録している。

 本因坊秀策の強さは、一見して平凡な着手を重ねて、しかしいつのまにか優位を築いてしまうところにあり、奇手鬼手というものはむしろ少ない棋士である。本書に取り上げられたテーマも、一手一手は誰でも打てそうな(思いつきそうな)手であることが多い。
 注目してほしいのは一連の着手の流れであり、その中に潜む深い読みと対局観である。「流れ」を感じるためには実際に盤上に並べてみるのがよいので、経過図などを利用して是非秀策の打ち回しを盤上に再現してほしい。平凡に見えてそこには非凡なものがあり、凄味がある。
 高木九段の作図は棋理をシンプルに、そして明確に示してくれるのでわかりやすく、棋聖秀策の深遠な読みのレベルにまで読者を的確に案内してくれるものと思う。

 秀策の碁は、長く規範とされ「日本の碁」の骨格をなしてきた。現在は持ち時間の短縮の影響と中韓の国風もあって激しく短期決着的な石の運びが主流となっている。しかし、伝統的な「日本の碁」のよさも否定できないものである。「日本の碁」を理解し、そして味わって楽しむうえで、本書はよき入門書となるであろう。

【参考】
 名人・名局選 秀策/福井正明
 完本本因坊秀策全集/福井正明
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中盤

梶原武雄

 (1923~2009)
 新潟県は佐渡島出身の名棋士。タイトルを獲得しなかったものの、その評価は非常に高い。明治人らしい、求道派・職人気質の棋士と知られ、その徹底した革新精神みなぎる工夫の数々には驚嘆を禁じ得ない。梶原の新手が与えた影響は昭和の囲碁史のみならず現代にまで及ぶ。
 また木谷實に請われて木谷門下の指導に当たり、多くの棋士を育てたことでも知られる。また舌鋒鋭い評と省略語のような独自の囲碁用語を交えたユーモラスな語り口でテレビ解説でも活躍した。梶原節は書籍でも大いに発揮されており、数も膨大で、名著も多い。
 こうしてみてみると、職人気質な明治人、頑固者というイメージの半面、対局から後進の指導、執筆からテレビ出演までマルチな活躍をした多才さも見逃せないところである。

○著作リスト

 石心梶原武雄/梶原武雄
 梶原流電撃戦法(2巻)/梶原武雄
 定石原典/梶原武雄

 元美・俊哲・仙得/梶原武雄
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棋士・観戦記者

名人・名局選 道策/福井正明



誠文堂新光社/相場一宏
有段者 ☆☆☆☆

 シリーズ7冊目。
 詳解10局と参考譜23局を収録している。
 このシリーズ全般に言えることだが、先行の打碁集・解説なども存分に引用して、充実した内容の解説で道策を並べることができる。酒井猛の『玄妙道策』よりも記述の公平性が保たれた記述になっていると思う。道策の碁は、手どころが難解で、どうしても図が煩雑になりがちであるが、それもやむを得ないところ。
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古典(打碁集)

橋本宇太郎

 (1907~1994)
 関西棋院を起こした名棋士。才気あふれる打ちまわしと、気迫溢れる勝負の数々から「天才宇太郎」「火の玉宇太郎」という異名を取った。息の長い活躍を見せ、戦前の本因坊戦(原爆対局含む)、呉清源との十番碁、戦後の関西棋院独立をかけた本因坊戦(坂田栄男との昇仙閣の決闘)、王座十段の獲得、69歳にして第1期棋聖戦の7番勝負進出など、その棋歴はそのまま昭和囲碁史といっても過言ではない。

 詰碁作家としてもその才を発揮し、棋風にたがわず鋭い筋を内包した作品を多数残した。難解な大作というよりもしゃれた小品にこそ真骨頂があるように思われる。

○著作リスト

 打碁集

 橋本宇太郎(上下)/橋本宇太郎


 詰碁

 詰碁・五十三次/橋本宇太郎
 詰碁奥の細道/橋本宇太郎
 詰碁・中仙道/橋本宇太郎

 その他

 囲碁一期一会/橋本宇太郎
 幻庵因碩/橋本宇太郎

 「風と刻」、「局勢判断と応手」はまだ記事にしていない。
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棋士・観戦記者

囲碁年鑑2010/日本棋院



囲碁ファン ☆☆★

 囲碁ファンなら囲碁年間は毎年買うべし、というのが持論であるが、最近の囲碁年鑑の凋落ぶりは悲しい。
 日本棋士がいくら勝たないからといって国際棋戦の部が薄すぎる。せめて日本主催の富士通杯の本戦はすべて掲載すべきである。リーグ最終予選決勝なども実に面白い碁が多いのに、掲載しないのはもったいない。
 
 すべての囲碁ファンにお薦めすべき本なのだが、胸を張って進められないのが悲しい。
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年鑑(打碁集)

梅沢由香里

 有名美人棋士。慶応義塾大学卒。容姿のみならず実力もあり、対男性棋士の勝率が高いことで知られ、無冠なのが不思議であったが2007年に女流棋聖を獲得して以来連覇している。
 そのルックスから普及面での活躍も多く、著作も入門関連のものが多い。ヒカルの碁の監修にも名前があった。

○著作リスト

 梅沢由香里流すぐ打てる9路盤/梅沢由香里
 梅沢由香里のステップアップ囲碁講座/梅沢由香里 
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棋士・観戦記者

張栩

 現在日本の第一人者にして詰碁の大家。ここまでの著作は詰碁関係がほとんど。打碁集は文庫シリーズだけだが、2010年に出版された『コウの考え方』は総譜をフォローしているので打碁集として活用できる。著作数は少ないが、駄作は見られず読み応えがあるものばかりだ。

○著作リスト

 勝利は10%から積み上げる/張栩

 張栩の実戦に学ぶコウの考え方/張栩

 張栩の特選詰碁/張栩
 張栩の詰碁/張栩
 張栩/張栩

関連
 新四天王のここが強い/上村邦夫

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棋士・観戦記者

井山裕太20歳の自戦記/井山裕太




日本棋院/秋山賢司
有段以上 ☆☆☆☆

 史上最年少で名人を獲得した井山裕太の打碁集。
 井山裕太はいま最も注目される日本人棋士であり、選局、解説、構成ともによく、打碁集としての完成度は非常に高い。「碁は理屈で考えすぎるとおかしなことになります」という一言にしびれた。鋭い感性と深い読みを持ちながら、同時に人知の限界を知る聡明さこそが強さの秘密かもしれない。

 
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現代(打碁集)

梅沢由香里流すぐ打てる9路盤/梅沢由香里




NHK出版/内藤由起子
入門者 ☆☆☆☆

 入門本としては趙治勲の『はじめて打つ碁』と続編の『おぼえたての碁』が決定版だと思うのは現在も変わらないが、この本もなかなかよくまとまっていてよいと思う。特徴は対局のマナーに関しての記述と付録に用語集がついていること。よくまとまっている。
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入門

居眠り名棋士/トマ エージーエフデー



総合法令出版 ☆☆☆

 フランス人作家による囲碁の歴史小説。
 時代考証や、細部の設定にやや違和感はあるが、それも逆にいえばフランス人から見た日本のイメージや理解度がどのようなものかがわかるといえる。
 
 四つの物語が週力されているが、いずれも説話的な味わいを持ったもので、作者の囲碁に対する愛や興味をうかがわせるものとなっている。

 囲碁はモチーフとしては使い古されておらずしかも潜在力のあるものだと思うので、内外を問わず囲碁もっと囲碁が題材として取り上げられることを期待したい。
 
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読み物/文芸
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