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現代囲碁大系31 橋本昌二/橋本昌二



講談社/谷本宏
有段者 ☆☆☆ 

 橋本昌二九段の打碁集。現代囲碁体系の第31巻。
 関西棋院では橋本宇太郎九段に次ぐ存在で、十段、王座、NHK杯など数々のタイトルを獲得した名棋士である。若いころから頭角を現した早熟の棋士であり、本書は木谷実や呉清源といった先輩棋士や、坂田栄男、高川秀格、そして木谷門の俊英たちなど多くの棋士との闘いの記録である。無類の長考派であり、手厚いじっくりとした碁が持ち味である。現在のスピード化した碁から見るとのんびりしているようにも見えるが、本手の芸とでもいうべき重厚な仕上げが見どころである。

 囲碁界は長く東京が本場であり、関西は格下に見られてきた。囲碁界の正史は常に東京の目線で語られるものだが、関西棋士の打碁集を並べると逆の視点に立てるのも新鮮だ。

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昭和(打碁集)

第47期本因坊戦

 

 3年連続挑戦の小林光一棋聖・名人・碁聖を、趙治勲本因坊が3連敗碁の4連勝で退けた伝説のシリーズ。
 7局とも印象深く、目外し定石の思わぬところから大乱戦となった第1局、反撃の烽火となった第4局(治勲黒番の名局)、治勲が完璧な打ちまわしを見せた最終局(捨石と形勢判断の名局)と面白い碁が多いが、個人的に一番印象深いのが第6局だ。この碁は小林光一に勝利のチャンスが十分あった。第45期からの3年間で、治勲は7局の角番をしのいだことになるが、その7局の中で45期の第7局と、この47期の第6局は小林にとってもっとも惜しい碁であったに違いない。

 問題の場面。

 10020901.jpg

 序盤で白がポイントを挙げて優位が認められる場面。問題の置きが打たれた。黒の61手目で、すでに碁は2日目に入っている。(封じ手は黒49の左辺詰め)
 実戦は以下のように進んだ。

10020902.jpg

 小林は遮らず、渡らせる方針の白1。そして黒は2、4を利かして6の渡り。
 この瞬間碁がひっくり返ったのだという。たった数手の応酬で白の優位は溶けてなくなり、以降趙治勲の完璧な打ちまわしの前に、二度と優位を取り戻せなかった。二日制の碁の繊細さには驚く。
 遮った場合の参考図が以下のもの。

10020903.jpg

 置きを捨石に厚みを築き黒12の踏み込み。これが黒の目論見であり、だからこそ小林は避けたわけだが、この図で白が勝ちだという。『棋道』誌での連載で趙治勲が「この図で白の勝ち。もっとも優位は1目半程度」というコメントを残しており、小林も別な場所でやはりこの図で1目半勝てるというコメントを残していてる。(小林光一のコメントに関しては記憶が定かではなくソースを示せない)二人の感想の見事な符合。両者の意見が正しいのか正しくないのかは凡人には到底分らない。しかし、そこまで精密な読みと微妙な形勢判断をしなければ勝てない、そしてこの段階のわずかな遅れを取り戻すことのできないのが二日制の碁ということだ。この両者のコメントを読んで最強者が2日かけて戦う碁の厳しさを垣間見た気がして非常に感激した覚えがある

 最近のスピード化した対局では味わえない奥深さや迫力を感じるシリーズである。
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現代(打碁集)

勝利は10%から積み上げる/張栩



朝日新聞出版/佐野真
☆☆☆☆

 張栩3冠が、自身のこれまでの棋士人生や勝負哲学、囲碁界の課題などについて語っている。
 勝負哲学としては非常に常識的で、何かで勝とうとしたこと(受験で合格とか事業で成功とかでも)があるひとなら誰でも考えるようなことで特に驚くに値しないのだが、棋士人生でそれを徹底していることと実践を続けているところがやはり敬服する。
 日本の囲碁界の現状の問題点を指摘し、はっきり「弱い」と書いているのは評価できる。そのうえで日本の囲碁界の長所も上げており、このことには非常に共感を感じた。

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読み物/文芸

詰碁・五十三次/橋本宇太郎

詰碁・五十三次



有段者 ☆☆☆


 最近までネットで買えたが、現在は品切れ状態になっている。
 道中シリーズの第1作で、詰碁にあわせて東海道の宿場・名跡などが紹介されている。橋本詰碁の特徴である黒番統一はまだなされていない。さほど難易度は高くは無いが、切れ味鋭く洒落た小品が多い。

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詰碁集

宇宙流妙手録/武宮正樹



三一書房
上級以上 ☆☆☆☆

 その名の通り武宮九段の妙手集。テーマ図が掲げられ解説が続くという問題集形式だが、天来の妙手というべきものも多く容易に当たらないだろう。あくまでも鑑賞する本である。武宮九段の碁は大模様というイメージが先行しがちだが、その本質は自然でしなやかな石使いに魅力があり、それがなかなかまねできないところである。本書は武宮九段の碁の魅力をよく伝える良書である。

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読み物/文芸

7番勝負の魅力を堪能する

 2日制の7番勝負は本当に面白いのです。
 最近のシリーズはややテンションが落ちているように思えるので、昔の(といっても最近だが)名シリーズを紹介。



 第17期名人戦。
 小林光一名人(棋聖碁聖)に大竹英雄九段が挑んだシリーズ。
 第7局までシーソーゲームを続けた珍しいシリーズ。勝敗を決した最終局が名局となった。勝利を決めた鮮やかなヨセの名手は感動的。




 第45期本因坊戦。
 趙治勲本因坊に小林光一棋聖名人碁聖が大3冠を賭けて挑む3部作第1部。3勝1敗の角番から治勲逆転防衛。この二人の対戦は二日制ならではの読み合いが見られありきたりな碁にならない。




 第46期本因坊戦。
 3部作第2部。この期はもちろん面白い碁が多いが、フルセットまでいかなかったので最高の内容ではない。ただ3年セットと考えると外せない。




 3部作完結編。治勲の3連敗4連勝という衝撃の幕切れとなった。
 第1局などは、ありふれた目外し定石から意地の張りあいになりすさまじい変化に発展した両者らしい碁。
 第6局が運命の1局。優勢の小林が62手目の対応を誤り逆転負け。後に両者とも同じ変化図をあげて白1目半勝ちとしているが、100手未満の時点で精密な形勢判断をしていることに衝撃を覚えた。最終局は趙治勲が深い読みと明るい大局観で小林光一を圧倒。第4局とともに趙治勲屈指の名局。

 最近で良かったのは・・・



 高尾紳路名人に、前年名人を失冠した張栩碁聖が挑戦したリベンジシリーズ。フルセットマッチの大熱戦で、内容も充実しており非常に面白かった。




 張栩名人に19歳の井山裕太八段が挑戦する。序盤の連勝で劣勢に立った名人だが挽回し、最終局でねじふせた。


 碁に限らず将棋、チェス、スポーツでもそうですが、互いに反する目的をもって行動している両者の間に均衡が生まれるとき、美しさを感じます。はじめから調和を目指した調和ではなく、闘争の末の均衡というのでしょうか。そういう場面に出会えるのは真に強い打ち手が揃ったときです。

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