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鬼手・魔手 韓流究極の詰碁/権甲龍



毎日コミュニケーションズ/洪敏和訳
高段者 ☆☆☆☆★ 

 李世石などを輩出している権道場秘伝の詰碁集。前書きにあるが、道場内の秘密のテキストであったが囲碁界の要望で書籍化したものらしい。要するに韓国版「発陽論」みたないなものだが、それにふさわしい難問揃いである。解答は3ページほどを割き、比較的親切であるといえる。

 詰碁のスタイルとしては大掛かりな難問が多い。プロ仕様なのでほとんどのファンには無用の問題ばかりだろう。(こういう問題を解く前に基本問題を沢山解いた方がよい。具体的には山田詰碁や石榑詰碁のシンプル作品がよいだろう)この本を実践的な教材として使用するには県代表レベルはないと無理ではないだろうか。もしくはよほどの詰碁マニアでないと投げ出してしまうだろう。

 とはいえ「あの李世石が解いた」 などと宣伝されてしまうと、ちょっと怖いもの見たさ的な興味がそそられる一冊ではある。観賞用として手元において、これらの問題の変化を瞬時に読みきるプロ棋士の頭脳のすごさを実感してみるのも面白いかもしれない。

 なお日本語版の特別付録として、李世石の実戦の手どころを3例を「実戦詰碁」として収録している。分量は少ないが非常に面白い内容である。
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category
詰碁集

ヒカルの碁 完全版/ほったゆみ 小畑健



集英社

 言わずとしれたヒカ碁ブームを巻き起こした人気漫画。最近完全版が刊行されている。
 このマンガを通して囲碁を始めたこどもは多く、ヒカ碁世代と呼ばれている。普及活動の立ち遅れている囲碁界では救世主的な存在だったが、連載が終わった現在でもいまだに依存している。

 この作品は囲碁を知らない人でも面白く読めるしっかりしたストーリー漫画だが、そのことはここで特に触れない。

 作画に際してかなり緻密な取材をしており、日本棋院の対局室などの内部の様子(場合によっては職員も)をほぼ忠実に再現していて、個人的にはそこが面白かったりする。今はなくなった1回の売店や洗心の間(院生研修の場面で出てくる和室大広間。当時は学生棋戦でも利用していた)の様子も忠実に描かれており、非常に懐かしい。
 対局場面の棋譜もかなり凝っており、秀策の名局から現代のトップ棋士の棋譜などから話にあった棋譜を選んで使用している。これは棋譜ファンとしては心くすぐられる拘りであった。
category
読み物/文芸

21世紀の旗手 依田紀基/依田紀基



日本棋院/小西泰三
有段者 ☆☆☆★

 依田紀基九段が十段、碁聖を獲得したのを記念して日本棋院から出版された打碁集

 第1章が初のビッグタイトル十段獲得と防衛、第2章が名人リーグ、最高棋士決定戦などでの奮戦の模様、第3章が碁聖獲得と国際棋戦での活躍、第4勝は最新譜として応昌期杯、三星杯での劉昌赫九段との8番碁などを紹介している。
 前書きにも書かれているが、本の作成時期に棋戦が重なり本人が充分な検討解説は行えなかったようで、全体的に「まとめた」という感じのあっさりした一冊である。購入時、そのあっさり感が不満であまり評価は高くなかったのだが、今読み返すとそれなりに面白く感じたので取り上げることにした。なにより収録されている棋譜の数が多く、結果的に依田九段唯一の(本格的)世界戦制覇となっている三星杯の棋譜も含まれている。

 本書と『勝負の極意』をあわせて読むのが現在依田打碁を知る最良の方法だが、今後はもっと本格的な打碁集出版を願いたい。
 
 
category
現代(打碁集)

李昌鎬ファイル/李昌鎬



毎日コミュニケーションズ/朴治文 洪敏和訳
有段者 ☆☆☆☆★

 非常に面白い一冊。

 97年から98年にかけて毎月1局ずつ李昌鎬が自戦解説したものをまとめたものらしい。中には自戦解説ではなく日本の棋聖戦や、若手同士(若き日の李世石)の対戦を取り上げた回もある。本書のライターであり聞き手進行役を務める朴治文氏は、囲碁クラブ誌上に「李昌鎬物語」を連載した新聞記者であり、李昌鎬の案内人としてはうってつけの人である。

 90年代後半は李昌鎬が非常に充実していた時期であり、打ち碁の内容、解説ともに非常に読み応えがある一冊である。趙治勲、依田紀基、小林覚、王立誠などの碁も登場し、そこに加えられる批評や評価も非常に興味深い。
category
中韓(打碁集)