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打碁鑑賞シリーズ/日本棋院

 日本棋院から出版された打碁集シリーズ。文庫版でお手軽路線を走った。
※『王立誠』は書評を書いたつもりでいたが記事なし。そのうちに読み返してアップします。

 『名局細解』に似て、1譜あたりの手数を押さえて、読みやすさを追求している。従って一冊に収録されているのは5局程度である。巻末に棋士評や参考譜を織り込むなど、それなりに楽しめる工夫はこらしてある。
 ただ1冊5局程度では、その棋士の棋歴や棋風をすべて描ききれるものではなく、あくまでもビギナー用の打碁集という域を出ない。ベテラン人気棋士になると、選考する打碁集がいくつもあるために、新味を出すための選局にかなり苦心しているものもある。
 旧四天王(片岡、覚、王立、山城)はコンプリートしているが、木谷三羽烏(加藤欠)、竹林(大竹欠)、新四天王(山下、高尾欠)などが網羅されておらず、中途半端なのも気になる。工藤九段、淡路九段、宮沢九段などのように実力者ながらあまり打碁が知られてない棋士を取り上げているのは貴重。どうせなら石田章、王銘エンあたりも出してほしかった。

 シリーズ最高傑作は『宮沢吾朗』だが、あまりにマニアックな内容過ぎて、かえってシリーズに終止符を打つことになったのかもしれない。

1 『片岡聡』
2 『小林覚』
3 『工藤紀夫』
4 『林海峰』
5 『武宮正樹』
6 『石田芳夫』
7 『張栩』  
8 『王立誠』
9 『羽根直樹』
10 『山城宏』 
11 『淡路修三』
12 『宮沢吾朗』
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シリーズ

名人・名局選 秀策/福井正明




誠文堂新光社/相場一宏
有段者 ☆☆☆

 おそらくはシリーズ化を視野に入れた一冊。今後には期待したい。

 個人打碁集にはさまざまな要素があるが、大まかに言えば手(棋譜)の解説と棋士の(人生の)紹介が2大要素である。どちらに力点をおくかで打碁集の内容も変わってしまう。

 福井正明九段が関わった古碁本は、『秀麗秀策』『堅塁秀和』など、どちらかといえば手の解説をおさえて、棋士の人生やそれをとりまく歴史的状況を紹介することに力を入れたものが多かった。今回の『秀策』はどちらかといえば手の解説に力を入れたもので、秀策の代表的な名棋譜10局に詳細な解説を加えている。選局は妥当なものだ。参考譜は新譜を含む22局を収録。秀策の碁を知りたいという人には内容を保障できる一冊である。

 ただし、秀策に関わる書籍は多く出版されており、比較してしまうとやや難点もある。主たる棋譜を10局にしぼってしまったのはややしぼりすぎの感がある。漏れた名局がたくさんある。手の解説の面白さも含めて言えば『秀策』(日本囲碁大系、石田芳夫解説)のバランスに及ばない感じがする。また秀策の人生を俯瞰するという点では『秀麗秀策』に及ばない。やや中途半端だ。3500円の豪華本としては評価は下げざるを得ない。
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古典(打碁集)

ひと目の手筋問題集600/趙治勲



毎日コミュニケーションズ/朴道純
中級以上 ☆☆☆☆

 定評のある「ひと目」シリーズの最新作。
 簡単な問題を繰り返すことこそ効果的というコンセプトで発売された『ひと目の手筋』『ひと目の詰碁』は画期的であった。この本もその延長線上にあるが、いくつか新しい工夫がある。ひとつは問題量が多いこと。600問というのはかなりのボリュームで、基礎的な手筋の習熟には充分。また漫然と問題が続くのではなく、テーマ図から類題演習という構成をとって、より整理した形で手筋を紹介してある。テーマ図がヒントにもなるので、純粋な問題集を望む人には微妙かもしれないが、これはこれで分かりやすい。
 読み潰すのによい本で、隙間時間を潰すのにはうってつけ。文庫版で携帯も楽である。
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手筋

現代花形棋士名局選〈別巻 1〉小林光一/小林光一



日本棋院/村上明
高段者 ☆☆☆☆

 小林光一九段の打碁集。
 初のビックタイトル天元獲得までの道のりをまとめている。三冠時代(棋聖8連覇、名人7連覇、碁聖6連覇)以前のもので、残念ながら全盛期の小林光一の姿をみることはできない。しかし逆にそれが魅力でもある。
 全盛時代の小林光一といえば実利優先、ドライな実戦的手法、相場観と決め打ち、勝ち碁を勝ちきるうまさといった言葉が出てくる。しかしそれは頂点を極めるために棋風改造をしたあとの小林光一の姿。それ以前は梶原武雄に影響をうけた外回りの碁を打っていた。非常に挑戦的であり、求道的な小林光一九段の若々しい姿が見られる。青春の譜である。
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昭和(打碁集)

松和・雄蔵/橋本昌二



筑摩書房/橋本篤慶
高段者 ☆☆☆

 囲碁四傑の伊藤松和太田雄蔵打碁集
 伊藤松和は坊門棋士で、晩成ながら七段上手に進み、御城碁もつとめた。秀策の御城碁19連勝中、もっとも危うかったのが松和との一局である。軽妙な石の運びと秘められた怪腕が持ち味で、豆まき碁の岩本薫九段に少し似たところがある。多少むらっ気だが、気合が乗ったときの碁は素晴らしいものがある。
 太田雄蔵は囲碁四傑の筆頭に挙げられる名棋士で、剃髪を嫌がって七段上手に進みながら御城碁に出仕しないという逸話も残す快男児である。序盤から中盤の石サバキのセンスが抜群で、その切れ味とスピード感は江戸碁の中では傑出している。四傑の中で一番秀策との互先を維持したことでも知られ、現代でも評価は高い。

 橋本九段の解説は、現代感覚から多少辛めに手の批評している。
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古典(打碁集)

加藤正夫

 加藤正夫九段は長く一線で戦った人気棋士だけに著作は少なくない。著作に関してはけれんみがないといえばそうで、地味といえば地味。「殺し屋」だけに攻めに関するものが多い。

打碁集
怒涛の譜―加藤正夫精局集/日本棋院
攻めの構図読みの力(上/下)/加藤正夫

察元・烈元・因叔/加藤正夫
中国流の魅力/加藤正夫
死活と攻合い/加藤正夫

関連
精魂の譜/有水泰道
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棋士・観戦記者

続・すべての囲碁ファンに捧げる本/田村竜騎兵


毎日コミュニケーションズ/田村竜騎兵
すべての囲碁ファン ☆☆☆★

 『すべての囲碁ファンに捧げる本』の続編。
 このシリーズの特徴は、単純な技術書ではなく、囲碁の勉強法や経験談、心構えなど+αの要素を取り入れているところである。ただこの続編はその部分でトーンダウンしている感があり、第1作にやや劣るという感じである。
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読み物/文芸

石田芳夫

 お茶の間でもおなじみの石田芳夫九段は、多くの著作を発表している。コンピューターといわれた目算・ヨセ能力と、大斜定石が得意なことから、定石やヨセの本が多い。内容は安定しており信頼性は高いが、木谷門にありがちな濫造濫作の傾向も多少はぬぐえない。

石田芳夫打碁集/石田芳夫
石田芳夫/石田芳夫

秀策/石田芳夫

基本定石事典/石田芳夫
大斜大作戦/石田芳夫
シマリの技法/石田芳夫
やさしく考える布石/石田芳夫
形勢判断とヨセ/石田芳夫
並べるだけで白が巧くなる本/石田芳夫
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棋士・観戦記者

中山典之

 プロ棋士である以上に、ライターとして有名。
 語り口はやや古臭さは感じるが、著者の意図をよく汲みとり、リズム感のある名調子の文章を書き上げる。(名調子というところが、古い教養や言葉文化によっているところがあるので、若い人には「古臭い」感じになる)名ライターといってよいだろう。

 ちなみに有名な「囲碁学者」H裕に対してすごく批判的である。

〇著作リスト

昭和囲碁風雲録(上・下)/中山典之

宇宙流序盤構想/武宮正樹
梶原流電撃戦法(2巻)/梶原武雄
小林光一囲碁必勝講座/小林光一
玄妙道策/酒井猛
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棋士・観戦記者

名人/川端康成


新潮社/
すべての人 ☆☆☆☆☆

 おそらく囲碁を扱った文学作品の最高峰。
 本因坊秀哉名人の引退碁の閑散期を再構成した記録文学。挑戦者の木谷實は何故か大竹七段と名前を改められている。
 秀哉は最後の「名人」であった。当時の「名人」には相対的に実力一位というだけでなく、もっと絶対的な力量、神格的な存在であることを求められていた。秀哉は、現実的にはかなりの無理もした(それが幾つかの汚点となった)が、生涯を「不敗の名人」として生き抜いた人であった。そこには現代の棋士からは考えられないような極度の緊張を要する生活があったと思われ、それを生き抜いた秀哉の精神力というものは相当なものである。秀哉名人は非常に小柄であったが、盤の前に座ると絶大な存在感があったという逸話があるほどだ。川端の筆は、巨星の最後の光芒を敬意をもって伝えている。
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読み物/文芸

小堀啓爾

 故人。
 名ライター。特に趙治勲との仕事に光るものが多い。趙治勲のタイトル獲得(防衛)決定局の自戦解説は、ほとんど小堀氏で、小堀氏の文体が紙上での趙治勲の人格となっているといっても過言ではない。
 表現の仕方が、一般的な囲碁の文章の外に出ることが多く、読んでいて楽しめる文章だった。観戦記もおざなりの内容ではなく興味深かった。(私は大ファンであった)
 
追記:小堀氏は昔の『NHK囲碁講座』に(当時の)トップ棋士の棋風紹介コラムを連載していた。それが大変面白かったのだが惜しいことに雑誌をどこかにやってしまった。(昭和55年~60年ごろと思う)趙治勲の紹介で「ルサンチマン」という言葉を使っていたけど、囲碁の本でこの単語に出会ったのはこれ一回。

〇著作リスト

秀和/杉内雅男
流水秀栄/高木祥一
趙治勲傑作選/趙治勲
カベ攻めの極意/趙治勲
シノギの真髄/趙治勲
剛腕丈和/高木祥一

 
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棋士・観戦記者

秀哉/榊原章二

日本囲碁大系第18巻



筑摩書房/田中宏道
高段者 ☆☆☆☆

 最後の世襲制本因坊、本因坊秀哉の打碁集。
 秀哉はいろいろと評判の悪い棋士で、雁金とのジゴ事件、鈴木為二郎、瀬越憲作に対する対局拒否、呉清源戦での疑惑の妙手(前田陳爾が発見した妙手で勝利?)など話題にはこと欠かない。しかし、打碁の内容は非常に充実しており、第一人者の貫禄充分である。秀哉の醜聞は、人間が神格化された存在=名人として振舞う上での必要悪であったといえるかもしれない。秀哉は神ではなかったが、その技量は神技に近づいた屈指の名手であることは間違いない。神として振舞おうとしたところに無理があり、そこで汚点を残すこととなった。
 秀哉は、実戦的であり、力戦家であった。先代の秀栄の流水のごとき淀み無き名人芸に比すれば俗とされても仕方ないが、過激にしてドライな現代碁に目のなれたわれわれからすればむしろ普通に映るかもしれない。長時間を掛け、名人の名を汚さぬように細心の注意を持って下された一手一手は全て手筋といって過言ではない。接近戦での手筋を学ぶには、丈和と並んで双璧をなすと思われる。
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明治大正(打碁集)
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