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聶衛平 私の囲碁の道/聶衛平



岩波書店/田畑光永
有段者 ☆☆☆☆★

 中国の名棋士聶衛平の自伝にして打碁集。一応打碁集にして分類。自伝として読む場合は、特に棋力は関係ない。

 日中スーパー囲碁にて11連勝を含む14勝4敗という圧倒的な結果を残し「鉄のゴールキーパー」の異名取った聶衛平の棋暦は、そのまま20世紀の中国囲碁界の発展上昇の軌跡といってもよい。
 囲碁を覚えてから、専門家としての道を歩むまで。そして文革の嵐に飲み込まれた苦節の日々から、中国の第一人者へ駆け上り、対日本棋士戦で好成績を挙げて世界のトップ棋士になるまでが綴られている。そのドラマチックな人生と、囲碁にかける情熱には圧倒される。またいたるところで、勝負観、精神論、勉強法など、聶衛平の棋士哲学が語られており、それもまた興味深い。囲碁上達を願う人は、是非一度ひも解かれるとよい。本書は単なる自伝打碁集をこえた名著である。

 打碁集としては『聶衛平囲碁名局集』がやや勝るので、そちらとあわせて読まれるとよいと思う。
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category
中韓(打碁集)

実録小林光一研究会/大矢浩一



毎日コミュニケーションズ/大矢浩一
高段者 ☆☆☆★

 小林光一研究会の模様を再現している。内容的には打碁の解説となるのでカテゴリーは打碁集にした。
 研究会での結論を要約しつつも参加者(小林光一九段をはじめ河野臨天元や大矢浩一九段などなど)の対話を再現し、研究会の雰囲気を伝えるのに腐心している。それはそれで面白い。また選りすぐりの棋譜だけに、碁の内容や検討される参考図も面白い。やや高度な内容も多いので読者を選ぶ感じはある。

 ただこういう企画は、まず雑誌連載で読んでみたかったというのが正直なところである。
category
現代(打碁集)

アマの知らない最先端定石/大矢浩一



毎日コミュニケーションズ/内藤由起子
有段者 ☆☆☆★

 定石の発達変化が激しい昨今では、古い版の定石辞典などがまったく役に立たないことが多い。この本では、最近のトレンドが紹介されており、流行の手に敏感な人には面白い内容となっている。ただし、解説は最低限にとどめられているので、理解したり使いこなしたりするのには、自分で研究することとある程度の棋力が必要と思われる。したがって本書は最先端定石カタログ、といったところである。
category
定石

プロ棋士の思考術/依田紀基



PHP研究所/
囲碁ファン ☆☆☆☆★

 紹介文などを読むと、天才棋士の思考法を解説したハウツーものと受け取られてしまいそうだが、そうではない。
 この本の特徴の一つは、自分の碁を語るには自分の人生を正直に語らねばならないとして、これまでの反省を赤裸々に著している点である。落ちこぼれだった小学生時代。囲碁にのめりこみ腕を磨いた修行時代。酒や賭け事に溺れた青年期。そしてどん底から脱出してのタイトル獲得。愚かしくもドラマチックな生き方は、良くも悪くも印象的である。
 もう一点興味深いのは、棋力というものが頭の良さや知識というものによるのではなく、最終的には心のありようにあうると説く点にある。囲碁研究は、論理的な思考とその結論(知識)の集積で、いわば理詰め理詰めの世界である。しかし、おそらく囲碁にうち込んだことがあるひとなら誰しも感じることだが、人間と人間が盤を挟んで対峙するとき、理を越えた何かが勝負を分かつことがあるのである。勝負師として修羅場をくぐってきた著者の論は非常に説得力があり、興味深い。

 囲碁に打ち込むこと、囲碁にのめりこむことの「深さ」を感じる一冊。囲碁を打つことは生きることなのだ。

category
読み物/文芸

星の布石徹底探求/小林覚



河出書房新社/
有段者 ☆☆☆☆

 星布石が増え、それるぬれて新変化、新定石もどんどん増えている現状を踏まえて、星布石に関わる情報を整理した本。
 星からのシマリに対する対策や、三角星(隅の星から両辺の星に展開した形、四連星などで現れる)に対する掛かり方など、従来の定石書では対応しかねる部分の情報を豊富に盛り込み、非常に便利である。
category
布石

モタレ攻め指南/淡路修三



毎日コミュニケーションズ/伊瀬英介
有段者 ☆☆☆★

 攻めの基本テクニックであるモタレ攻めを分かりやすく解説し、相手の石を分断に出るときに「引きつけ」ることの大事さを強調している。攻めの目標の反対側に持たれていくという発想は、大局的にものを見ないと生まれてこない発想であり、大局的にものを見て攻めてこそうまくいく。そのあたりの発想法から具体的な技術を、豊富な具体例をもとに平易に解説している。
category
中盤