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人生を変えた一局/山下敬吾他



有段者 ☆☆☆☆
マイナビ 高見亮子

 『囲碁将棋チャンネル』の番組「記憶の一局」を単行本化したもの。今回収録されたのは山下敬吾、吉原由香里、王銘エン、石田芳夫、小松英樹、小林光一、張栩、小林覚、片岡聡、鶴山淳志の10名。3局ずつ取り上げているので合計30局が収録されている。

 10人の棋士も大家から中堅、若手、女流まで幅広く、しかも選ばれた碁が、会心譜があれば痛恨の敗局もあり、さらには修業時代に勉強した古碁もあるということで本当にバラエティに富んでいる。打碁集の良し悪しを決めるのは作り手のこだわり、意気込みがだが、その点本書は各棋士にとって思いれのある1局を取り上げているので読みごたえは十分。ライターの高見さんも豊富でない紙巾でそれをうまくまとめていると思う。よい打碁集と思える本に久しぶりに出会った感じ。ぜひ続編を期待したい。

 有段者向けとしたが、1局あたりに6~8ページという解説量なので、研究するとなると高段者向きかも。(軽く並べて鑑賞するなら有段で十分)解説は上記の通りすごく良くよくまとまっていてわかりやすい感じがするが、収録された棋譜は有名なものが多くよく知っているのでそう感じしてしまうのかもしれない。
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現代(打碁集)

井山裕太 栄光の軌跡/井山裕太



日本棋院
有段以上 ☆☆☆★

 井山裕太六冠の打碁集。『碁ワールド』誌上に掲載された自戦解説譜や対談などをもとに再構成してある。コラムとして山下、張、高尾ら対戦してきた強豪にたいする印象なども紹介されている。

 棋譜の掲載が時系列でない、雑誌の解説記事の再利用など、減点要素は多いのだが、それでも最近貴重な打碁集であり、また現在日本では卓越した打ち手の感想・見解は興味深く、面白いのは間違いない。井山六冠ともなれば、もっと分量も多く、解説も凝った豪華な打碁集を期待したいがいたしかたないところか。
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現代(打碁集)

村川大介 青春の軌跡/村川大介



棋苑図書
有段者 ☆☆☆☆

 打碁集があまり出ないご時世の中、注目の若手棋士村川大介七段の打碁集が出たのはうれしい限りである。11歳で入段し、新人王のタイトルを獲得するなどの活躍はもちろんだが、村川七段は世界戦の予選突破を複数回果たしているのが特筆される。この打碁集でも前半部分は世界戦での戦いが紹介されておりそこが見どころのひとつ。

 実は本のサイズや構成には不満があり(私は打碁集に関しては特にうるさい)手放しに評価はしにくいのだが、これだけ打碁集不足だとどうしてもこう評価にならざるを得ない。世界戦の棋譜が多いこともあって比較的新しい打ち方が多く出ており、その周辺の変化に関する解説などは特に参考になる。
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現代(打碁集)

飛翔の譜/小林光一



マイナビ 内藤由起子
有段者 ☆☆☆★

 全盛期を含んだ本格編集のものが無かった小林光一名誉三冠の待望の打碁集。

 同時代ではドライなどと評され、残した結果の割に評価が低かったが、現在振り返ってみれば現代碁のなかでももっともお手本となるような棋士であったように思う。形にとらわれずドライな面もあるが、正確な形勢判断に基づいて局面を簡明化して打ち進めるので、アマチュアにもわかりやすく参考になる点が多いだろう。もっとも、平易な石の運びの裏にある深い読みはアマチュアにはなかなか想像もつかないものであるし、昨今の中韓の混沌とした乱戦に慣れてしまうとやや退屈に感じるかもしれない。

 今回は待望の打碁集だっただけに大変うれしいが、獲得タイトル・棋戦の決勝もしくは番碁最終局だけを収録するという、工夫のない選局にはがっかりした。ここに収められていない名局も数多い。機械的に選ばずに、もっと厳選して打碁集を編んでほしかった。
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現代(打碁集)

中京の親子鷹打碁集 羽根直樹/羽根直樹



木本書店/中山典之
有段者 ☆☆☆

 現在、羽根直樹九段の打碁集としてはもっとも本格的なもの。61局を収録。『中京の親子鷹打碁集 羽根泰正』と姉妹本。
 しかしながらなぜ収録したかがよくわからない敗局が掲載されていたり、対局の背景や心理描写に乏しく、出来としてはいまいちだとせざるをえない。個人打碁集に敗局を掲載してもいいと思うが、掲載する理由がはっきり描写されていないとなんだかよくわからない。結城聡との棋聖戦や高尾紳路との本因坊戦なと逆転のタイトル戦は局数を割いて詳しく掲載しているが、淡々の解説するのみで当時の心境などはよくわからない。

 最近はなかなか打碁集の出版できない時代である。せっかくの機会なのだから、力作を期待したいものだ。
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現代(打碁集)