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秀栄/高川格



高段者 ☆☆☆★
筑摩書房/村上明

 日本囲碁体系の第17巻。孤高の名人秀栄を解説するのは「流水不争先」の高川秀格名誉本因坊。
 秀栄は、秀策と並んで長く日本の碁の規範とされ、同時に神格化されてきた部分もある棋士である。高川九段の解説は、秀栄に対する深い敬意と棋風さながらの平明で筋道の通ったもので、秀栄の碁の魅力をよく伝えてくれるものだと思う。
 秀栄の打碁集としては基本のもので、外せない一冊。

参考:秀栄の打碁集比較

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明治大正(打碁集)

名人・名局選 秀栄/福井正明


誠文堂新光社/相場一宏
有段者 ☆☆☆

 構成や評価については、他の「名人・名局選」とほぼ同じ。
 秀栄は「日本の碁」を考える上で非常に重要な棋士だ。先番必勝の秀策が黒番の規範となったのに対し、白のお手本とされたのが秀栄で、日本の碁の考え方の骨格になっている棋士である。全盛位にライバルと呼べる存在がおらず、勝負師としては不幸であったかもしれないが、その棋譜は演武を見ているようで、白番でも自然に勝ちを手にしてしまう。その芸術的な打ちまわしを堪能しよう。
 
参考:秀栄の打碁集比較

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明治大正(打碁集)

秀哉/榊原章二

日本囲碁大系第18巻



筑摩書房/田中宏道
高段者 ☆☆☆☆

 最後の世襲制本因坊、本因坊秀哉の打碁集。
 秀哉はいろいろと評判の悪い棋士で、雁金とのジゴ事件、鈴木為二郎、瀬越憲作に対する対局拒否、呉清源戦での疑惑の妙手(前田陳爾が発見した妙手で勝利?)など話題にはこと欠かない。しかし、打碁の内容は非常に充実しており、第一人者の貫禄充分である。秀哉の醜聞は、人間が神格化された存在=名人として振舞う上での必要悪であったといえるかもしれない。秀哉は神ではなかったが、その技量は神技に近づいた屈指の名手であることは間違いない。神として振舞おうとしたところに無理があり、そこで汚点を残すこととなった。
 秀哉は、実戦的であり、力戦家であった。先代の秀栄の流水のごとき淀み無き名人芸に比すれば俗とされても仕方ないが、過激にしてドライな現代碁に目のなれたわれわれからすればむしろ普通に映るかもしれない。長時間を掛け、名人の名を汚さぬように細心の注意を持って下された一手一手は全て手筋といって過言ではない。接近戦での手筋を学ぶには、丈和と並んで双璧をなすと思われる。
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明治大正(打碁集)

明治・大正名棋家集一・二/榊原章二など

現代囲碁大系1巻、2巻


講談社/藤井正義(1巻)、中島宏二
高段者 ☆☆☆

 1巻は、本因坊秀哉、小岸壮二、中川亀三郎(石井千治)、広瀬平次郎、岩佐、2巻は雁金準一、高部道平、野沢竹朝、井上因碩(15世)、井上因碩(16世)、稲垣兼太郎、三宅一夫。

 まず1巻だが、秀哉に関しては、日本囲碁大系の『秀哉』があるので本書が必ずしもベストの打碁集ではない。注目は小岸壮二。秀哉の愛弟子で、壮二の夭折が無ければ秀哉が世襲制の本因坊を断念することも無かったといわれている。部類の長考派で、分厚い碁を打つ。本書にも収録されている瀬越憲作戦でのサルスベリを分断する大構想は圧巻。その外では秀哉の引き立て役に甘んじた力戦派石井千治などが面白い。
 2巻に関しては何と言っても雁金準一。師秀栄が「手が見えすぎる」と評したほど読みが深かった。接近戦の強靭さはすさまじく対呉清源戦などは驚嘆を禁じえない。秀哉との対立から本格的な手合を打つ機会が少なかった悲運の棋士でもある。その外「評の評」事件で有名な気骨の棋士野沢竹朝なども注目。

 秀哉、雁金以外はマイナー棋士といってよく、ややマニアックな巻である。
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明治大正(打碁集)