Entry Navigation

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
category
スポンサー広告

猫を抱いて象と泳ぐ/小川洋子



 傑作チェス小説。
 主人公の少年がチェスに出会い、そこから物語は動き始める。リトルアリョーヒンと呼ばれることになる彼の数奇な人生の物語。

 モチーフはチェスだが、囲碁にも通じるボードゲームの魅力が存分に描かれている。対局するとは何か。一枚の棋譜の持つ意味。1局の対局に人生が投影されるような錯覚。めくるめくチェスの世界。物語として充分面白いが、もし読者がチェスや将棋や囲碁などを嗜んでいれば、読後にすぐにゲームをしたくなるような、そんな本です。
 作者の小川洋子さんは、チェスはほとんど指さないようです。相当な取材を下にしても、チェス(ボードゲーム)の持つ魅力をここまで見事に洞察しえるのは作家としての感性・眼力のなせる技でしょうか。

【参考】
 この作品の重要なモチーフに18世紀に発明された「トルコ人」というチェス人形の話があります。実際に世界各地でチェスを指したこのチェス人形については、ポーが"Maelzel's Chess-Player"というエッセーを残しており、この人形が機械ではなく、中に人間が入ってチェスを指しており、どのような手順で隠れたら観衆の目をごまかせるかということまで正確に推理しています。また、このエッセーを学生時代に大岡昇平とともに訳して小遣い稼ぎをした小林秀雄が、「常識」(考えるヒント収録)でこの話題に触れています。



スポンサーサイト
category
チェス

決定力を鍛える/ガルリ・カスパロフ



NHK出版
☆☆☆☆☆

 日本ではチェスは盛んではないため、カスパロフはIBMのスーパーコンピューター、ディープブルーに負けた世界チャンピオン(機械に負けた人間)として認知されているむきもある。しかし彼はまぎれもなく歴代世界チャンピオンの中でも最高レベルのプレイヤーで評価は非常に高い。例えばヨーロッパのチェス雑誌などで羽生善治名人を紹介するときは「ショーギ界のカスパロフ」といった表現が使われたりする。この本はカスパロフ版『決断力』といったところ。しかしその充実度は段違いである。

 原題が How Life Imitates Chess で、訳題よりこちらのほうがよいと思う。
 この本はカスパロフが、自らの思考のプロセスを細かく分析している。素人は名人に「何手読めるんですか?」などと質問しがちだが、思考というものはそんなに単純でない。一般的には手を「読む」ことを考えることのすべてだと簡略化しがちだが、「戦略」や「戦術」、現状「分析」といったものがあってはじめて目標が定まり、手を読むことができる。また手を読んでも読み切れる(答えが出る)場合ばかりではないので、出来た図を「判断」し、どの手を指すか「決断」しなければならない。また現実の勝負は時間制限のなかで行われており、時間の管理や事前の準備も大切だ。またコンピュータープログラムが発達し、情報化した現代ではそれらの技術の利用の仕方でも差が出る。考えるということは実にさまざまなプロセス経て行われ、また様々な側面があるわけで、それらについてカスパロフは詳細な検討を加えており、圧巻である。また実例として彼の繰り広げた名勝負のエピソードなどが語られるが、その描写が非常に生き生きとしていて面白い。また話題はチェスの盤上から離れて、航空会社のボーイング社に飛んでみたりチャーチルに触れてみたりと、カスパロフの興味の広さには驚かされる。
 また、各章の間にチェス界の歴代名選手の紹介コラムが挿入されており、これがよくまとまっており面白い。

 考える、ということをチェスを通して検討しつくしたとき、それは結局どう生きるのかという問いになる。読み終えるとHow Life Imitates Chessというタイトルに納得できる。

 最後に補足。『「決断力』がこの本ほど充実していないと評したことに関して。カスパロフはこの本の執筆は引退して初めて可能になったとと言っている。現役時代から構想があったが、競技をしながらこのような本は書けないのだという。カスパロフ本を読むと、確かに羽生本には忙しいなかでまとめた限界があるようにみえる。あるのはその差だけであり、羽生本の内容自体はは極めて興味深い。
category
チェス

白夜のチェス戦争/スタイナー



☆☆☆☆

 1972年、レイキャビクで行われた世界チャンピオン、スパスキーと挑戦者フィッシャーの間で行われた世界選手権のスケッチ。
 基本的には世界戦の観戦記だが、シュタイニッツから始まり、ラスカー、カパブランカ、アリョーヒン、そしてソ連のマスターたちに連なるチェスの歴史、モフィーを狂気においやるチェスというゲームが持つ魔力などにも言及している。
category
チェス

カテゴリ「チェス」について

カテゴリ「将棋」と同じく、チェスの棋士や名勝負、歴史に関する書籍も紹介する。

 blogram投票ボタン

 
category
チェス
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。