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7番勝負の魅力を堪能する

 2日制の7番勝負は本当に面白いのです。
 最近のシリーズはややテンションが落ちているように思えるので、昔の(といっても最近だが)名シリーズを紹介。



 第17期名人戦。
 小林光一名人(棋聖碁聖)に大竹英雄九段が挑んだシリーズ。
 第7局までシーソーゲームを続けた珍しいシリーズ。勝敗を決した最終局が名局となった。勝利を決めた鮮やかなヨセの名手は感動的。




 第45期本因坊戦。
 趙治勲本因坊に小林光一棋聖名人碁聖が大3冠を賭けて挑む3部作第1部。3勝1敗の角番から治勲逆転防衛。この二人の対戦は二日制ならではの読み合いが見られありきたりな碁にならない。




 第46期本因坊戦。
 3部作第2部。この期はもちろん面白い碁が多いが、フルセットまでいかなかったので最高の内容ではない。ただ3年セットと考えると外せない。




 3部作完結編。治勲の3連敗4連勝という衝撃の幕切れとなった。
 第1局などは、ありふれた目外し定石から意地の張りあいになりすさまじい変化に発展した両者らしい碁。
 第6局が運命の1局。優勢の小林が62手目の対応を誤り逆転負け。後に両者とも同じ変化図をあげて白1目半勝ちとしているが、100手未満の時点で精密な形勢判断をしていることに衝撃を覚えた。最終局は趙治勲が深い読みと明るい大局観で小林光一を圧倒。第4局とともに趙治勲屈指の名局。

 最近で良かったのは・・・



 高尾紳路名人に、前年名人を失冠した張栩碁聖が挑戦したリベンジシリーズ。フルセットマッチの大熱戦で、内容も充実しており非常に面白かった。




 張栩名人に19歳の井山裕太八段が挑戦する。序盤の連勝で劣勢に立った名人だが挽回し、最終局でねじふせた。


 碁に限らず将棋、チェス、スポーツでもそうですが、互いに反する目的をもって行動している両者の間に均衡が生まれるとき、美しさを感じます。はじめから調和を目指した調和ではなく、闘争の末の均衡というのでしょうか。そういう場面に出会えるのは真に強い打ち手が揃ったときです。

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【特別企画】初段以後のテキスト2

(2) 棋譜・布石

 棋譜並べは野球で言うと素振りの様なもので、詰碁とならんで囲碁の2大基礎練習である。
 一般的に年齢・棋力が低いほど詰碁の割合を増やした方がいいが、棋譜並べも早めから親しんでおくにこしたことはない。またある程度棋力や知力が成熟してくれば、棋譜並べは非常に楽しいものでもある。

 基本布石事典【上下】/依田紀基

 本書のまえがきにもあるように、まずはプロの棋譜の序盤40~50手を並べることが大事である。すべて並べるのは立派なことだが、負荷が大きすぎると続かなかったり、集中力が落ちて吸収が悪くなる逆効果も。無理をしないことだ。
 この本は模範布石例、類似のプロの実戦例ともに50手程度に収まり、しかも譜分けしてあるので並べやすい。毎日1局などと決めて取り組むとよいと思う。

 たまに一度並べさせた後に本を閉じて並べ返せるかテストするとよい。石の姿が見えるようになると、一度並べただけでもすらすら並べ返せるものである。

 囲碁雑誌
 例)


 囲碁年鑑
 例)韓国囲碁年鑑2007/国際囲碁大学

 囲碁雑誌は、棋譜に限らず情報源なので、気に入ったものを一種類ぐらいは定期購読するとよい。雑誌にはタイトル戦など棋譜解説があり、終局まで掲載されているのでよい教材になる。

 毎年日本棋院から出版されている囲碁年鑑や、最近は翻訳版の出ている韓国囲碁年鑑は、本格的に棋譜並べするためにの基礎教材となる。300局程度は収録されておりボリュームは十分。

 取り組む目安としては、上記の布石事典の並べ返しがすらすらいくこと、高段者に手が届く(高段者になりたいという意欲がある)こと。雑誌の方が譜分けされ見やすいので、雑誌で終局まで並べるのに慣れてから年鑑系にすすむのがよいか。


 打碁集

 棋譜並べを効果的に行う方法として、特定の棋士を集中して並べるという方法がある。一流棋士にはそれぞれ独自の囲碁観があり、続け並べてみて初めて感じとれるところもあるからだ。
 どんな棋士を並べるのがいいかといわれれば、ずばり「好きな棋士」だろう。あこがれを持ってならべると吸収力がちがう。

 普段少しずつ棋譜並べしていると好きな棋士、興味のある棋士がでてくるもの。そうしたらその棋士の打碁集を探してみるといい。
 
 
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お薦め

【特別企画】初段以後のテキスト1

 以前、「【特別企画】初段までの最短距離テキストを考えよう」という記事を書いたことがある。そこに「初段のこどもがいるので参考にしています、できたら初段以後の参考書も教えてください」というようなコメントをいただいた。私の記事が少しは役立っているようなので大変うれしい。

 初段以後のテキストですが、これは基本的にはなんでもありなのです。初段というのは碁打ちとしてそれなりの力がついたということ。例えば本の難易度も、初段ならばある程度自分で判断できるようになっているはず。また自分に何が必要かとか、なにを知りたいとか具体的な動機も自分の中にあるはず。人に強制されるのではなく、自分で面白そうだと思ったものをどんどん読めばいいのです。

 ただしこれは大人の話。
 今回はお子さんということなので、外れのない基本書をいくつか紹介したい。分野ごと何回かに分けて紹介したいと思う。

(1)詰碁・死活

 なんといっても読みの力は大事だし、こどものころに一番伸びる分野でもある。簡単な問題を数多く解かせるのが大事。

 山田の詰碁Ⅰ 基本の詰碁/山田規三生
 山田の詰碁Ⅱ 高速攻めの詰碁/山田規三生
 山田の詰碁Ⅲ 三段突破の詰碁/山田規三生
 六段挑戦の詰碁/石榑郁郎
 基本詰碁123/石榑郁郎

 基本死活事典(上・下)/趙治勲

 基本詰碁としては上の5冊。特に山田九段の3部作は特にお薦めである。この5冊に共通するのは、基本の手筋を豊富に含み、比較的シンプルな問題ということである。とりあえず山田の詰碁Ⅰから取り組むのがいいだろう。石榑先生の本は、実は「基本」のほうが「六段挑戦」よりも難しいので、買う順番に注意。

 趙治勲の基本死活辞典は、とりあえず上巻がお薦め。基本死活が網羅されている。実はこれ1冊でも充分高段者になれるが、事典なだけにボリュームもあり、これを端から端まで勉強するのは結構ストイックなことだ。資料として持たせておいて損のない一冊だが、普段の勉強用には、上の5冊のほうが気楽に取り組めるだろう。
 下巻は古典有名詰碁集だが、これは高段者になってからで十分。

 取り組ませて、あまりにも解けないようなら無理に取り組ませるのは禁物。いずれ力がつけば出来るようになるので、もう少し優しいものを探して買い与えて時期を待つのが得策です。
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【特別企画】初段までの最短距離テキストを考えよう

 個人的には入門書で勉強したことはないのだが、仕事柄わかりやすい本や効果的な本はなにかよく考える。ここまでの経験では、最強コースは以下の通り。

 ○入門
 はじめて打つ碁/趙治勲
 おぼえたての碁/趙治勲

 ミニ碁盤を使ってわかりやすく、しかも入門書ながら囲碁の奥深さまで表現しえている趙治勲のこの2冊できまり。これは譲れない。
 

 ○入門後
 梅沢由香里のステップアップ囲碁講座/梅沢由香里

 全4冊。入門後を想定したテキスト。これも見やすいのと、趙治勲本で触れられていない19路盤の打ち方を平易に説明してあるので、組み合わせとして有効かと思った。


 とりあえずこの6冊の内容で19路盤対局に必要最低限の知識や考え方はカバーできると思われる。


 ○練習用

 上記6冊あればもう充分だと思われるが、ほとんどの人が感じる壁「読みの力」「筋形の知識」を補おうと思えば問題集が有効。簡単なひと目シリーズがお薦め。主なものを上げてみた。書評を書いていないものはアマゾンリンク。
 全部買う必要はなく、好きなものを入手して厭きるほど繰り返し、本当に厭きたら新しいものを買うぐらいの態度でよい。自分のレベルにあっている(気軽に解ける難易度)のならひと目シリーズにこだわることはないだろう。書店で内容を実際に見て気に入るかどうかチェックするのも大事。

 ひと目の手筋問題集600/趙治勲
 もっと ひと目の詰碁/趙治勲  
 ひと目の手筋/趙治勲
 ひと目の詰碁/趙治勲

 ひと目のヨセ [マイコミ囲碁文庫シリーズ] (マイコミ囲碁文庫シリーズ)
 MYCOM囲碁文庫シリーズ 初段突破! ひと目の布石

 ○その他補強
  石倉昇のこれでOK初級突破法〈基礎編〉 (NHK囲碁シリーズ)
  石倉昇のこれでOK初級突破法〈応用編〉 (NHK囲碁シリーズ)

 書評を書いていないのでアマゾンリンク。この2冊はわかりやすく、ポイントの絞り方もよいのでお薦め。(ベタだが)
 さらに、

  世界一役に立つ実戦詰碁/石倉昇

最近出たこの本はかなりお薦め。この本は初段にとどまらず将来的に二段三段と昇段を目指したいなら必携。



 ○その他、課題など

 基本的に入門の成功とその後の上達は、指導者とライバルなど環境による面は大きいので、(こんな記事を書いておいていうのは反則だが)書籍に頼りすぎないことというのはあるかと思う。その上で、書籍を利用するならこれがベストではないかというものを挙げてみた。

 あと初級者には本を選ぶときに、できれば書店などで実際手にとってみることをお薦めする。勉強の参考書などもそうだが、本との相性というものは確実にあり、実はかなり重要。初級者は継続が大事で、繰り返し手りたくなるような(続けたくなるような)雰囲気があるとよい。

 個人的にはついつい打碁集や詰碁集に予算を割いてしまうために、初級本を網羅的には購入できず、必ずしも評価にベストを尽くしているといえないのが苦しいところ。書店などで極力目を通すようにはしているが・・・
 韓国棋院のドリル(↓)なども書店で見てよさそうだとは思っているのだが、予算不足で購入していない。実際の買われた方には感想などを是非聞いてみたい。




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【特別企画】打碁集ベスト5

 たまに遊びでこういうのもよいかと。

5位 『橋本宇太郎』☆5

 現代囲碁大系から。最近はじめて並べた本ですが、非常に面白かった。橋本宇太郎という棋士の碁も人生も余さず描ききっている感あり。


4位 『泰然知得』☆4

 知得の碁も良いが、依田先生の解説がすばらしい。それをかんがえると、『依田流並べるだけで強くなる古典名局集』は、期待はずれ。というよりもライターの力(記述や構成)の差かもしれない。


3位 『石心 梶原武雄』☆4.5

 梶原流の真髄が見られる。はじめて読んだときの感動が忘れられない。非常に内容が濃く、大変勉強になる。


2位 『厚みの美学 大竹英雄』☆5

 石心梶原に共通するが、一流棋士の強烈な個性や囲碁観は非常に魅力的で面白い。それをうまく描いている。 


1位 『趙治勲傑作選』 ☆5

 棋譜並べしなくても損しないくらい、読むだけで面白い傑作打碁集。趙治勲の激動の囲碁人生(前半)を見事に描ききっている。小堀氏がなくなってしまい、4巻以降の出版がなくなってしまったのが残念。(上中下ではなく1、2、3巻と銘打ったのは、当然続巻を意識したものだろう)


 自己分析では、強い棋士の打碁集ならたいてい面白いのだけど、棋士の囲碁観に迫ったもの(『石心 梶原武雄』『厚みの美学 大竹英雄』)や、棋士の生き様を描ききったもの(『橋本宇太郎』『趙治勲傑作選』)なんかが特に心に残るみたいです。
 
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