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第47期本因坊戦

 

 3年連続挑戦の小林光一棋聖・名人・碁聖を、趙治勲本因坊が3連敗碁の4連勝で退けた伝説のシリーズ。
 7局とも印象深く、目外し定石の思わぬところから大乱戦となった第1局、反撃の烽火となった第4局(治勲黒番の名局)、治勲が完璧な打ちまわしを見せた最終局(捨石と形勢判断の名局)と面白い碁が多いが、個人的に一番印象深いのが第6局だ。この碁は小林光一に勝利のチャンスが十分あった。第45期からの3年間で、治勲は7局の角番をしのいだことになるが、その7局の中で45期の第7局と、この47期の第6局は小林にとってもっとも惜しい碁であったに違いない。

 問題の場面。

 10020901.jpg

 序盤で白がポイントを挙げて優位が認められる場面。問題の置きが打たれた。黒の61手目で、すでに碁は2日目に入っている。(封じ手は黒49の左辺詰め)
 実戦は以下のように進んだ。

10020902.jpg

 小林は遮らず、渡らせる方針の白1。そして黒は2、4を利かして6の渡り。
 この瞬間碁がひっくり返ったのだという。たった数手の応酬で白の優位は溶けてなくなり、以降趙治勲の完璧な打ちまわしの前に、二度と優位を取り戻せなかった。二日制の碁の繊細さには驚く。
 遮った場合の参考図が以下のもの。

10020903.jpg

 置きを捨石に厚みを築き黒12の踏み込み。これが黒の目論見であり、だからこそ小林は避けたわけだが、この図で白が勝ちだという。『棋道』誌での連載で趙治勲が「この図で白の勝ち。もっとも優位は1目半程度」というコメントを残しており、小林も別な場所でやはりこの図で1目半勝てるというコメントを残していてる。(小林光一のコメントに関しては記憶が定かではなくソースを示せない)二人の感想の見事な符合。両者の意見が正しいのか正しくないのかは凡人には到底分らない。しかし、そこまで精密な読みと微妙な形勢判断をしなければ勝てない、そしてこの段階のわずかな遅れを取り戻すことのできないのが二日制の碁ということだ。この両者のコメントを読んで最強者が2日かけて戦う碁の厳しさを垣間見た気がして非常に感激した覚えがある

 最近のスピード化した対局では味わえない奥深さや迫力を感じるシリーズである。
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現代(打碁集)

趙治勲

 趙治勲本の多くは小堀啓爾氏との名コンビで作成されたもので、名著が多い。数多く出版していながら駄作が少なく、個性的で面白い本が多い。また初心者向けの著作にも目の付け所がよいものが多い。

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