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古名人全集/福井正明



誠文堂新光社/秋山賢司
棋譜並べマニア ☆☆☆

 非常にマニアックな一冊。初代本因坊算砂(名人)の32局、その後を継ぎ名人となった中村道碩の80局を収録している。
 近代的な布石理論に先鞭をつけたのは四世本因坊道策であり、それが結実したのは幕末の秀和、秀策あたりのことである。この本で取り上げられているのはそれ以前のもっと混沌とした碁である。定石も未発達で、初手辺打ちや空き隅を空けたままの乱闘など、現代から見れば奇異に映る打ち筋が多い。しかし知識に頼らず一手一手自分の読み筋に全てを賭けて格闘する石の姿こそが囲碁本来のものであるともいえる。極度の情報化されてしまった現代においてはかえって見えにくくなっているものがそこにはある。また、徐々に布石理論が発達したり、定石の誕生や進化の過程が垣間見えるのも興味深い。

 ただ上記のことは、あるていど基本線の布石理論や囲碁の歴史が頭に入っていればのことで、打碁集として一番最初に購入するものではないように思われる。また上達を目指して棋譜並べをするなら、古典でも道策、秀策あたりを並べるほうが効率がよいだろう。
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category
古典(打碁集)