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小林光一

 小林光一九段の著作は、論理的でわかりやすいことが特徴である。良し悪しの判断をお茶を濁さずきっぱりと言い切る歯切れのよさがある。おそらくそれは普段の研究姿勢からくるものなのであろう。判断にはかならず理由をはっきり明示しており、その態度は科学的である。
 名誉号を3つ保持する(名誉棋聖、名誉名人、名誉碁聖)大棋士であるにもかかわらず、打ち碁集に恵まれないのが惜しまれる。いくつかあるものは主に若いころの打碁に限られており、全盛期をまとめた打碁集をぜひ出版してほしい。


打碁集
 現代花形棋士名局選〈別巻 1〉小林光一/小林光一

打碁集解説
 木谷實/小林光一

講座
 
 白番布石の徹底解明/小林光一
 進化する布石構想/小林光一 
 勝負どころの感性/小林光一
 勝負を決める形勢判断/小林光一
 小林光一囲碁必勝講座(全3巻)
 早分かり大斜・村正・大ナダレ
 簡単マスターはじめの30手

関連
 実録小林光一研究会/大矢浩一
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棋士・観戦記者

白番布石の徹底解明/小林光一



毎日コミュニケーションズ/
有段者 ☆☆☆★

 前書きにもある通り、白番に打ち方に焦点を当てた珍しい布石教本。対三連星、対中国流、対小林流、対新小林流、対ミニ中国流と、その他の布石に分類し、実践例をもとに解説している。その他の部分を、平行型、タスキ型、大上段布石と3分類しているので全8章で構成される。題材は小林光一九段のものが多いが、中には光一九段が黒番でうまくやられた(小林流、対趙治勲)ものや、他のトップ棋士の打碁からも取材している。収録譜のうち5局だけ巻末に総譜が掲載されている。

 序章でまとめられている通り、白番はやりすぎないことが大切(よくなるわけないのだから)であり、互角ならばむしろ大成功だということ知ることが上達への道なのであろう。

 本書の28局で黒番布石に対する対策がすべてわかるわけではない。またこの本に掲載されている例は、黒の打ち方に問題があったから白がよくなったのだという側面があるのもわすれてはならない。ただし、本書を読み通すことで白番の勘所がわかるし、白番布石での成功の目安を体感できることが一番重要だろう。それは、白番がうまくいかない理由は、そもそも形勢を損じているというケースだけではなく、実はうまくいっているのに不利だと思いこんで自滅するケースが少なくないはずだからだ。

 基本的には有段者向けだが、白番の力加減、成功の判断基準を知るという意味では上級者でも参考になるかもしれない。
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布石

第47期本因坊戦

 

 3年連続挑戦の小林光一棋聖・名人・碁聖を、趙治勲本因坊が3連敗碁の4連勝で退けた伝説のシリーズ。
 7局とも印象深く、目外し定石の思わぬところから大乱戦となった第1局、反撃の烽火となった第4局(治勲黒番の名局)、治勲が完璧な打ちまわしを見せた最終局(捨石と形勢判断の名局)と面白い碁が多いが、個人的に一番印象深いのが第6局だ。この碁は小林光一に勝利のチャンスが十分あった。第45期からの3年間で、治勲は7局の角番をしのいだことになるが、その7局の中で45期の第7局と、この47期の第6局は小林にとってもっとも惜しい碁であったに違いない。

 問題の場面。

 10020901.jpg

 序盤で白がポイントを挙げて優位が認められる場面。問題の置きが打たれた。黒の61手目で、すでに碁は2日目に入っている。(封じ手は黒49の左辺詰め)
 実戦は以下のように進んだ。

10020902.jpg

 小林は遮らず、渡らせる方針の白1。そして黒は2、4を利かして6の渡り。
 この瞬間碁がひっくり返ったのだという。たった数手の応酬で白の優位は溶けてなくなり、以降趙治勲の完璧な打ちまわしの前に、二度と優位を取り戻せなかった。二日制の碁の繊細さには驚く。
 遮った場合の参考図が以下のもの。

10020903.jpg

 置きを捨石に厚みを築き黒12の踏み込み。これが黒の目論見であり、だからこそ小林は避けたわけだが、この図で白が勝ちだという。『棋道』誌での連載で趙治勲が「この図で白の勝ち。もっとも優位は1目半程度」というコメントを残しており、小林も別な場所でやはりこの図で1目半勝てるというコメントを残していてる。(小林光一のコメントに関しては記憶が定かではなくソースを示せない)二人の感想の見事な符合。両者の意見が正しいのか正しくないのかは凡人には到底分らない。しかし、そこまで精密な読みと微妙な形勢判断をしなければ勝てない、そしてこの段階のわずかな遅れを取り戻すことのできないのが二日制の碁ということだ。この両者のコメントを読んで最強者が2日かけて戦う碁の厳しさを垣間見た気がして非常に感激した覚えがある

 最近のスピード化した対局では味わえない奥深さや迫力を感じるシリーズである。
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現代(打碁集)

実録小林光一研究会/大矢浩一



毎日コミュニケーションズ/大矢浩一
高段者 ☆☆☆★

 小林光一研究会の模様を再現している。内容的には打碁の解説となるのでカテゴリーは打碁集にした。
 研究会での結論を要約しつつも参加者(小林光一九段をはじめ河野臨天元や大矢浩一九段などなど)の対話を再現し、研究会の雰囲気を伝えるのに腐心している。それはそれで面白い。また選りすぐりの棋譜だけに、碁の内容や検討される参考図も面白い。やや高度な内容も多いので読者を選ぶ感じはある。

 ただこういう企画は、まず雑誌連載で読んでみたかったというのが正直なところである。
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現代(打碁集)

勝負を決める形勢判断/小林光一

勝負を決める形勢判断   

 高段者 ☆☆☆☆
 フローラル出版/内藤由起子

 形勢判断の仕方が非常に丁寧に書いてあり、この手の書の中でも良書といえる。
 形勢判断の中心になるのは目算だが、目算だけで形勢判断ができるわけではない。ときには手割りを用いた方がよい場合もあるし、相殺法がわかりやすい場合もある。また序盤、中盤の目算ともなれば厚薄の加減でどこまで地として数えるかという難しい問題もある。形勢判断の仕方は非常に微妙な問題が多く、それだけに実力が問われるのである。
 本書は、「この内容がすべてできたらトッププロです」と断りを入れた上で、小林九段の判断の仕方が非常に丁寧に記述されている。精密な形勢判断を身に付けたいと思っている人には大きな味方になってくれるはずだ。
 巻末に題材となった碁の総譜集が収められているのはうれしいところ。この手の試みは結城九段も行っているが、是非棋書のスタンダードになってほしい。


 なお目数に関する誤植があり完全とは言いがたい。この手の本の宿命であろうか。もっともたいていの人は、面倒臭いとナナメ読みしているので気がつかないのかも。
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形勢判断
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